都心のマンションが高い。それでは郊外の新築マンションを買うのはどうだろうか。スタイルアクト代表の沖有人さんは「どのエリアを選ぶにしても、購入したら都心には戻れないと考えたほうがいい」という――。
新聞でできた都市の立体切り絵を拡大鏡で見ている
写真=iStock.com/SvetaZi
※写真はイメージです

賃貸では大損、家は買うしかない

「高くて買えない」と考える理由に住宅ローンの限度額がある。現在は、年収の8~10倍の住宅ローンを借りることができる。借りることができるとは、銀行が貸しても返してもらえることが確実だと思っているという意味だ。それは過去の統計に基づくので、返済が大変なのではと心配する必要はないのだ。まずは自分が買える金額はいくらかを年収の10倍以上の物件を添えて仮審査することから始めなければ、「買えない」と言っていても何も始まらない。

次に、「家を買うか、借りるか」問題を考えよう。住宅ローンの返済が35年で終わるのに対して、30歳の余命は60年ほどあるので、単純に60年÷35年=1.7倍の生涯住居費の差が出る。このため、買った方がいいのはどの時代でも変わらず、その結果として、日本の85歳以上世帯の持ち家率は85.2%、都区部でさえ75.4%もあるのだ。これは、国が持ち家促進政策を取っており、競争を導入して金利を下げ、これでもかと減税している結果に他ならない。賃貸では大損になるので、家は買うしかないのだと心得よう。

築1年ですべての新築は「中古」になる

ただし、購入するのに新築にこだわる必要はない。築1年経過したら、すべての新築は中古扱いになる。中古でも内装をリフォームすれば新築同様の見た目にすることはできる。そして、コロナ禍に持ち家を探す人が増えたことで、新築が適正な価格より平均8%ほど高くなったと筆者は分析している。

筆者が主宰する無料会員制サイト「住まいサーフィン」では新築・中古の適正価格を算出しているが、適正価格は中古の成約価格をベースに算出している。それが当てになるのは、自分の買った家がいくらで売れるかの判断基準だからだ。新築物件同士を比較して、高い・安いを語ってもそもそも意味がない。この8%は竣工と同時に一旦は剥がれ落ちる可能性があるので注意が必要だ。

注意の仕方は周辺の中古売出価格を調べることで分かる。その1割引きが成約する価格の目安になるので、築年に応じてその付近まで価格が落ちると覚悟した方がいい。下落幅がローンの元本の減り方よりも大きければ、含み損を抱えることになるので購入リスクが高いと認識しなければならない。