住まいは、持ち家と賃貸のどちらが得だろうか。米国公認会計士の午堂登紀雄さんは「どこに住むかで判断は変わってくる。家賃の安い地方や郊外なら一生賃貸でも生活できる。一方、ずっと都市部で生活したいなら、老後のことを考えて持ち家を買うのもひとつの手だ」という――。

※本稿は、午堂登紀雄『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

寄り添う老夫婦
写真=iStock.com/twinsterphoto
※写真はイメージです

私が今「持ち家派」である理由

私自身は長く賃貸派でした。若いころは収入も少なく転職や起業を予定していたし、起業しても拠点が変わる可能性があると想定していたからです。また、マイホームより不動産投資のほうを優先させていました。

しかし、現在は持ち家派です。大きく2つの理由があります。

ひとつは、すべてを自分の意思でコントロールできるからです。

賃貸では大家の意向の影響を受けます。家賃を値上げされたり、故障個所の修繕をすぐにやってくれないこともあります。2年ごとの更新手続きや更新料・火災保険料の支払いも面倒くさい。これが持ち家なら気兼ねも誰の影響もありません。これは自由で気楽です。

2つめは、家賃がもったいないからです。

結婚して子どももできて家族構成がほぼ固まり、夫婦ともに自営業なので転職や転勤などで転居を迫られる可能性も低い。また、保育園の待機児童や学区の問題などもありますし、銀行や証券会社など住所変更しなければならないものも多く、荷物も多い。これは時間・労力・精神的にも大変なので、よほどの理由がなければ転居は考えたくない。子どもが高校を卒業するまでなど、ある程度の長さで定住する可能性が高い。

これが賃貸で、仮に家族4人で家賃月額20万円であれば、年間で240万円。2年ごとの更新料を含めると20年間で5000万円も払うことになります。しかしこれらは垂れ流されていくだけで、何も残らない。

一方、5000万円の物件を住宅ローンで買えば、同じ月額負担が20万円でも、金利1%で24年めにローンの完済が可能です。

都市部であれば、24年後は少なくとも2000万円ぐらいの値段では売れるでしょう。売らなくてもローン返済がなくなれば、以降の住居費はぐっと安くなります。

自由と経済性という2つの理由で持ち家に舵を切りましたが、それは私の場合。周辺環境とか子どもの学校の学区とか、立地のブランドを優先する人もいると思います。

何を重視するかは人それぞれですから、自分がどのような暮らしを望むかで判断することになります。