長期安定化する不動産投資の物件選び
では、そんな前項の1~3の条件が揃う物件とはどんなものなのか。
それを考えるには、やはりお客様である入居者の視点に立ってみることです。入居者が賃貸住宅を選ぶとき、優先順位の上位にくる項目は、以下です。
2、リーズナブルな家賃
もちろん、設備が整っているとか、新築だとか、占有面積が広いとか、人によって優先順位は多少前後しますが、ほとんどの人は場所と家賃で決めます。トレンディドラマに出てくるようなハイグレードで魅力的な物件でも、家賃が月100万円もすれば借り手はあまりいないでしょう。どんなに広くて快適な物件でも、山の中にポツンと建っていたとしたら、やはり借り手は激減するでしょう。そこで、設備のスペックを考えるよりも、前述の2つの項目を高い水準で満たす物件であることが重要です。
利回りと安定性のバランスを取る
ただし、こうした物件選びは、ひとつ大きな問題があります。
それは、もともとの値段が高いので、利回りもそう高くないという点です。
売主の立場になればわかりますが、良い場所の物件を、理由もなく安く売りたい人はいないでしょう。それに、そんな物件はみなが買いたいと思っていますから、あえて安くしなくても買い手は現われます。売るときに高く売れるのはメリットではありますが、自分が買い手に回ると逆に不利になります。利回りが高くないということは、得られる収入も少ないということですから、思ったほどは儲からないわけです。
高い入居率が期待できる超一等地は、利回りが低くてローンを組んだらお金が残らないということになりがちです。かといって、高利回りの期待できる郊外では、空室のリスクにさらされます。そこで、利回りと収支のバランスをどう取るかが、投資家個々人の考え方になります。
わかりやすく言うと、こんなイメージです。
都心のターミナル駅近くは安心だけれども、値段が高く利回りが低い。そこで、ターミナル駅だけれど、徒歩15分の場所を選ぶ。駅前は商業施設やオフィスビルが多く居住物件は少ないから、多少駅から離れても埋まるだろう。
同じく、都心から少し離れた各駅停車駅は利回りが高いけれども、空室リスクが高い。そこで、駅から5分以内で占有面積が広めで、さらに家賃を安くできる物件ならば埋まるだろう。という感じで、入居者像をイメージしつつ、収支シミュレーションをして、本当にお金が残るかどうかを計算しておきましょう。