1日平均7時間座る日本人に大事な筋肉

図表2の右図のようにあごが前に突き出ていると、腸腰筋に力は入っていません。また、あごを引いた時に顔が下を向いてしまっていても、腸腰筋に力が入りません。左図のように顔と視線はほぼ水平を保ったまま、あごを引くようにしましょう。

直立同様、座位の場合も姿勢保持のために抗重力筋が重要な役割を果たしています。腸腰筋も抗重力筋の一部で、抗重力筋がはたらいているかどうかは実感しにくいのですが、1日平均7時間も座っている日本人にとっては特に大事な筋肉です。

座位の場合も見た目の「形」ではなく、どこの筋肉を使っているかが重要になります。

前かがみで猫背、巻き肩になっていたら要注意

例えば、図表3をご覧ください。

この座位姿勢は、「仙骨座り」と呼ばれています。背もたれに寄りかかって猫背のようになっており、骨盤が大きく後傾しています。骨盤の後ろにある仙骨が座面に接し、イスからずり落ちそうになっているからだを支えています。

この座り方は基本的には「悪い姿勢」といわれていますが、腸腰筋が使えていれば、私は間違った座り方ではないと考えています。抗重力筋がきちんと使われていれば、その姿勢は「正解」なのです。これが私の考える正しいからだの使い方になります。

また、デスクワークをしていると、長時間座りっぱなしになってしまう人もいるでしょう。足腰を動かさないでいると股関節の可動域が狭くなって、腰痛を引き起こしやすくなります。また、作業する時は前かがみになるので、背中が丸まって猫背になっている人や、肩が内側に入って巻き肩になっている人もいます。どちらの姿勢も骨盤のゆがみがかかわっており、不良姿勢は腰痛の原因になります。