パンデミックに直面し、冷静でいられる人と慌てふためく人の違いは何か。医師の和田秀樹さんは「日本人の不安感は、『怖い』『いやだ』という感情ばかり先走り、対策まで結びつかないことが多い。これは控えめにいっても、頭が悪い人の行動だ。頭がいい人は世間の評価に惑わされず、確率で考えることができる」という――。

※本稿は、和田秀樹『頭がいい人、悪い人の健康法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

デジタルタブレットのニュースページ
写真=iStock.com/seb_ra
※写真はイメージです

ニュースになるのは「めったに起こらないこと」

「犬が人をんでもニュースにならないけれども、人が犬を噛んだらニュースになる」という言葉があります。

これを言ったのはアメリカのジャーナリストだとか、イギリスの新聞王だとか諸説ありますが、「ニュースとして価値を持つのは珍しいこと、めったに起こらないことである」と端的に言い表しています。

めったにないことにはインパクトがあるので、多くの人が注目します。テレビであれ、新聞・雑誌であれ、ネットニュースであれ、およそニュースと名のつくものはこの基本原則が根底にあると考えていいでしょう。つまり、確率の低いことが、大々的にニュースになりやすいといえます。

私は、現代の日本人に必要なのは、事実を中立的に見たうえで、確率でものごとを考える習慣を身につけることだと思っています。「頭がいい人」の健康法にとって、それが必須の要件になるからです。

今回のコロナ禍は、その典型です。確率がこれほど無視された病気も珍しいのではないでしょうか。たしかに、当初は、新型コロナウイルスによる感染症がどんな病気なのかよくわからないうちに、重症者や死亡者が次々と報じられ、日本全体は強い不安感に包まれました。