体のあちこちが徐々に休息モードになっていく
私も、寝つけない、眠れないという睡眠問題に悩んできた一人ですが、ようやくよい解決法を見出しました。名づけて「高田流快眠法」です。
実は「眠れない」状況に陥るのは脳の問題だけで、「眠い」という意識や感覚がなくても、体のほう、つまり手や足、胃腸などはひとりでに眠った状態に誘導されていくのです。
だから、ベッドに入ったけれど寝つけない、というときは、目を閉じて、「もう手は眠っているな」「背中は眠っているな」と、体のあちこちが徐々に休息モードになっていくのを感じていくようにします。するといつのまにか、脳も眠りに落ちていきます。
私はこの方法を編み出してから、毎日、快眠を楽しんでいます。それまでは、「眠れない、眠れない」と焦るため、逆に意識がはっきりしていっていました。
何時間も坐禅を組んだこともありましたが、これまた余計に頭が冴えてしまい、そのうえふと過去の経験を思い出し、孤独感を蒸し返したりして最悪な心理状態になっていくことがありました。
もし、この入眠法を試しても眠れなければ、逆に起きてしまえばいいでしょう。朝方にでも眠くなったら眠ればいい。よくないのは、くよくよ考え続けてしまうことです。
暇な毎日を繰り返すうちに喪失感と孤独感で頭の中がいっぱいに
孤独に対しても、老後の人生に対しても、男性よりも女性のほうがずっと強い精神を持っています。一説によると、配偶者が亡くなった場合、妻を失った夫は平均して2年ほどしか生きませんが、夫を失った妻は平均して15年ほど生きるとか。
平均寿命も、2022年の厚生労働省の統計では、男性が81.47歳なのに対し、女性は87.57歳となっています。
ただし、女性のほうがアルツハイマー型認知症になる割合は高いので、必ずしも女性のほうが「老化に強い」ということではありません。
孤独感に関していえば、女性は近所の人などとの付き合いを広げやすく、料理や掃除など、たくさんの「やるべきこと」を見出しやすいようです。だから決して毎日に退屈はしないし、生活のルーチンも楽しみやすい傾向があります。
男性の場合は、食事にしても出されたものを食べるだけで、自分で作ろうとはしない人が多く、そういう人は、妻が亡くなってからも、自分で献立を考え、料理をすることはほとんどありません。外食をしたり弁当や惣菜を買ってきて食べるだけ。そして、15分くらいで早々に食べ終わってしまったら、あとはやることがない……。
そんなふうに、献立や調理手順に頭を使うこともなく、暇な毎日を繰り返しているうちに、喪失感と孤独感で頭の中がいっぱいになってしまうわけです。