「心の内を語れるこんな相手」を確保しなさい

この心療内科の先生と同じような役割を果たしているのが、たとえばキリスト教などの宗教でしょう。特にカトリックでは、教会で神父に罪や苦しみを打ち明け(告解)、「お前の罪は赦された」と告げられることで、心のケアをしている信者は大勢います。

人は苦しいとき、その心の内を人に聞いてもらうと、気持ちが楽になるのです。だから、うつへの対策として、人と話すことは重要だ、と言いたいのです。

というわけで、「誰かに心の内を聞いてもらう」ことが、孤独感を抱かずに老化を遅らせることにつながります。

話し合いをする人
写真=iStock.com/Kobus Louw
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しかし、「そもそも、そうやって打ち明けられる人がいないから、孤独感を覚えるのでないか」と、お思いになるでしょう。

いえ、別に相談する相手は誰だっていいのです。定期的にクリニックに通って相談するのでもいいし、もしも自分の話をしっかりと聞いてもらえるのなら、お坊さんの説教とか、キリスト教のミサに参加してもいいでしょう(聞いてもらえないなら逆効果になるかもしれませんが)。

市町村の催しには、カウンセラーや心理学の先生に相談できる機会があるかもしれません。

ただ、家族や親しい友人に相談すれば、相手の負担になりかねません。相手だって、相談されたところで、どうしていいかわからないからです。

本格的にうつの傾向を感じるならば、それこそ心療内科の先生を訪ねてみてください。心理的な問題のプロに頼むことが、孤独感への対策として重要なことでしょう。

高齢になると「眠い」という感覚が得られなくなる

年を取ってから孤独感が増す原因には、寝つきが悪くなることも含まれます。

高齢になると、「眠い」という感覚が起こりにくくなります。あなたがもし、ある程度の年齢の方なら、夜中に目が覚めてトイレに行ったら、その後なかなか寝つけずそのまま朝を迎えてしまった、という経験があるかもしれませんね。

子供のころは、目をつぶれば、ひたすら眠っていました。遊び疲れたら自然に眠くなるのが普通でした。

ところが年を取ると、脳内で分泌される眠りをコントロールするホルモンの量が減り、「眠い」という感覚が得られなくなっていきます。体は眠りを欲しているのに、心が眠気を受け付けないせいで、眠れなくなるのです。

「眠れない」という状況を放置しておくと、どんなにメンタルが強い人でも、やがて心が蝕まれていき、孤独感を強く抱くようになってしまいます。

ただでさえ人間関係や健康のことで孤独感が増しているのに、眠れなくなれば、くよくよと将来を憂える時間ばかりが増えます。すると睡眠不足からうつになるなど、体に悪い影響が出てくることもあるわけです。

ですから、医師は「ハルシオン」などの睡眠導入剤を使うのですが、なかなか効果は現れません。お酒に頼っても、飲酒はかえって睡眠を浅くしますので、余計に眠りにくい体質が強化されてしまいます。

次に解説する高田流快眠法で「よく眠る」ことが老化を遅らせます。

アルツハイマー型認知症が起こるしくみのところで述べた脳内に生じるゴミのようなタンパク質「アミロイドβ」は、寝ている間に脳から排出されます。もしも、眠れなくて困っているという場合は、ぜひ、私が編み出した次の快眠法をお試しください。