ホンダのスポーツカー「シビックタイプR」があまりの人気で、新規受注をストップしている。自動車ライターの大音安弘さんは「世界一速いFF車という魅力に加え、日常運転にも便利な機能をしっかり備えている。これで約500万円なのだから、競争力が高いのは当然だろう」という――。
Hondaのスポーツカー、CIVIC TYPE R(シビック タイプアール)
筆者撮影
Hondaのスポーツカー、CIVIC TYPE R(シビック タイプアール)

世界一速いFF車ホンダ「シビックタイプR」

ホンダを代表するスポーツカー「シビックタイプR」が、今年4月、ドイツにあるレーシングコースであるニュルブルクリンク北コースにて、前輪駆動車(FF車)最速となる7分44秒881のラップタイムを記録したことを公表した。

通称「ニュル」と呼ばれるドイツのニュルブルクリンクサーキットは、世界でも有名なサーキットのひとつだ。特に、北コースは、世界最長となる20.81キロという距離だけでなく、山間部という立地をいかした高低差やカーブを取り入れた複雑なコースレイアウト、天候の変化の大きい環境などから、世界有数の難関コースとしても知られる。

世界の名だたる自動車メーカーが、新車開発の舞台として活用していることでも知られ、ラップタイムの記録が、新型車の高性能を示す指標のひとつとなっている。

つまり、現時点では、シビックタイプRが世界一速いFF車というが証明されたことになる。

受注をストップするほどの人気

シビックタイプRは、2022年9月2日に発売。メーカー希望小売価格499万7300円にもかかわらず、瞬く間に注文が殺到。

世界で高まるカーボンニュートラルの流れで自動車の電動化が進む中でも、最後になるであろう純粋なエンジンを搭載するスポーツカーの人気の高まりや、コロナ禍での趣味性の高い商品の購買力の向上が要因と考えられる。

筆者が、2022年11月に販売店を尋ねた際は、セールスマンに「最低でも3年待ち」になると告げられ、驚愕した。その後、受注分の確実な納車を実現するべく、2023年1月より新規受注を一時停止。現時点では、新車購入ができないという状況が続いている。

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