普段使いできるMT車

通算6代目となる最新型シビックタイプRも、現行型シビックがベースだが、誰もがスポーツカーと感じるアグレッシブなデザインに仕上げられている。

エンジンを冷やす空気をたくさん取り込めるように、開口部を拡大した結果、フロントバンパーは大型化。もちろん、走行安定性を高める空力特性の向上も狙いだ。さらに、高速域で後輪をしっかりと路面に設置させる力を発生させる巨大なリアスポイラーも目を引く。

先代よりも存在感を増したリアスポイラー
筆者撮影
先代よりも存在感を増したリアスポイラー。これも新型タイプRの走りを支える大切な機能だ。

通常のシビックよりも大きく感じるのは、巨大なタイヤを収めるべく、全幅が+90ミリ拡大されているため。基本形状は同じなので、それだけ前後のフェンダーが膨らんでいるというわけだ。各部に装着されるホンダエンブレムが、赤となるのも、タイプRの証しのひとつだ。

インテリアは、赤を基調としたド派手なデザイン。専用フロントシートとフロアマットは真っ赤に染まっている。その一方でリアシートを黒とすることで、前席を強調したスポーツカーらしい空間に仕上げている。この前後でシートカラーが異なるのも、歴代タイプRで使われてきた演出のひとつだ。

トランスミッションが6速MTのみとなるので、AT限定免許の人は運転できない。ナビやオーディオなどはシビック同等で、先進の安全運転支援機能である「ホンダセンシング」も標準。普段使いにも困らない内容となっている。

真っ赤なシート
筆者撮影
真っ赤なシートは、ヘッドレスト一体式で、乗員の体をしっかりと支える形状となっている。

意外な乗り心地

高性能な専用エンジンは、2.0L直列4気筒DOHCターボで、最高出力330ps/6500rpm、最大トルク420Nm/2600~4000rpmを発揮。1.5Lターボエンジンのシビックと比べると最高出力が1.81倍、最大トルク1.75倍と、2倍に迫る性能差がある。

それでいて最も軽いシビックの1.5Lターボ車と比べて各部の性能強を図りながらも重量を100キロ増におさえられているのだ。燃費性能については、1.5Lターボ車の方が16.3km/Lに対して、タイプRは12.5km/Lだが、高性能スポーツカーであることを考慮すれば、優秀だと思う。

ホンダが本気で作ったスポーツカーだけに、速いが運転が難しく、乗り心地の悪いのではと想像する人がいるかもしれないが、その予想は良い意味で裏切ってくれる。

意外なことに、すごく運転しやすく、乗り心地も良いのだ。これは高い剛性を持つボディと電子制御サスペンションが生む恩恵だ。

タイプRには、乗り味を変化させるドライブモードがあり、「コンフォート」「スポーツ」「+R」の基本となる3種類のモードがある。

日常運転では、「コンフォート」を選んでおくと文字通り快適な運転が楽しめる。性能をいかした走りを望むならば、「スポーツ」を選べばよい。ちなみに、「+R」は、サーキット走行など本気で走りたい機能だ。