手段であるはずの1on1が目的化している

形骸化した1on1。繰り返されると、マネージャーもメンバーも1on1に対して無力感を募らせます。その無力感が、ますます1on1の形骸化に拍車をかける。

無力感しか残らない1on1……その背景にも、組織のさまざまな問題が見え隠れします。

①人事部門による強制

「マネージャーは最低週1回30分、全メンバーと時間をとって1on1を実施すること」

1on1黎明れいめい期に多くの企業で見られた取り組み。コミュニケーション不足を解消するために、メンバーのエンゲージメントを向上するために、定期的に1on1の実施をマネージャーに義務づける。でもって、マネージャーはやらされ感で1on1をおこなう。

こうなると、形骸化の道まっしぐら。とにかく1on1を実施することが目的化し、中身のない消化試合のようなミーティングだけが繰り返されるだけになります。

マネージャーの負担も無視できません。10名部下がいるマネージャーであれば、300分の時間、さらに準備時間が加わるわけで、なかなかマネージャー泣かせです。

もちろん、「まずは1on1で対話する習慣を組織に定着させる」「1on1の体験を増やす」といった目的で、最初の一定期間は1on1を義務化するのも決して悪くはないと私は思います。定期的に1on1が設定されているから、お互い気を遣わずに対話の場を持つことができるメリットも大きいでしょう。ところが、現状を顧みずに惰性でそのまま続けてしまうと、手段であるはずの1on1が悪気なく目的化してしまいます。何事もふりかえりとアップデートが肝心です。

ところで、1on1って、そもそもマネージャーとメンバー間だけのコミュニケーション手段なんでしたっけ?

何でも1on1で話せばいいというわけではない

②それしかやり方を知らない/過信している
・コミュニケーションがうまくいかないと思ったら ⇒ とにかく1on1!
・何かあったら ⇒ とにかく1on1!
・お互いの考えや意見がかみ合っていないと思ったら ⇒ ひたすら1on1!

なぜなら、それしか方法を知らないから。あるいは、1on1さえ繰り返せばなんとかなる、わかり合えると、「1on1万能説」を信じ切っているような人もたまに見かけます。

いわば「1on1にすべての望みを託している」感じ⁉

そう表現するとカッコイイかもしれないですが、単なる問題の先送りと丸投げです。