避けられないアホとは笑顔で接する

「アホとは向き合わずにやり過ごせ」とはいっても、社会に出れば職場の上司・部下や取引先など、避けて通れないアホと対峙しなければならないこともあります。これまでお伝えした通り、アホとは戦わず受け流すことが基本的な解決方法ですが、それができないケースでは覚悟を決めてアホと向き合いましょう。

アホと向き合う際に大切なのが「リスペクト」「親切」「楽しむ」の3要素です。

基本的に、アホに対してあなたは良い印象を持っていないでしょう。しかしながら、その悪印象はバイアスがかかり、実際以上のものであることがとても多いのです。「イヤなやつだと思っていたけど、ちゃんと話してみると、思っていたほどではなかった」ということは、ままあります。これはあなたに悪印象を持っているアホにとってもいえることで、腰を据えて対話する機会を設けることでお互いのバイアスが解消し、理不尽な要求やアホな絡みが減る可能性があります。

また、対話の際には自分の持っている先入観を捨て、リスペクトを持って接しましょう。悪い面を見るのではなく、その人の良い面を探して褒めるようにしてください。人は敬意を持たれると、敬意を持たれる人間にふさわしい態度をとろうとします。そうなれば「アホ」から「人」へ進化してくれることもあります。

イライラ型のアホに対しては「親切」を心がけましょう。私は飛行機に乗った際、着陸後に一刻も早く降りようとイライラしている人の荷物を下ろすのを手伝うようにしています。すると多くの場合、それまで急いでいたはずの人が、足を止めてまで私に感謝してくれるのです(笑)。このように、イライラしているときに親切にされることは予想以上に大きな効果をもたらします。アホだと思っていた人が、いきなり自分の味方になってくれるかもしれません。

そして最後に、自分の人生を「楽しむ」ことです。こうしたリスペクトや親切は、自分が人生を楽しんでいる幸せな状態でしか行えません。そのため、「常に幸せであること」がうまく生きるコツだといえます。仮に幸せでなくても、幸せであるように振る舞うことで、良い結果を引き寄せるでしょう。

私は「人生の最期に何を思うのか」ということを常に念頭において行動しています。人生最期の瞬間に「良い人生だった」と思うには、平等に与えられた時間を有効活用するしかありません。そのためにアホとの無駄な戦いを避けて、無駄な時間とエネルギーを使わないように心がけています。

現在、アホとの戦いで時間とエネルギーを使ってしまっている人も、戦わないことでできる時間とエネルギーで人生の目的を見出し、その目的に向かって邁進してほしいと思います。

(構成=網田和志 イラストレーション=前田はんきち)
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