100億円規模のブランドが育ちにくくなった

さらにいえば、国内で中・高価格帯の新規ブランドが大きく育ちにくくなったのはユニクロ、ジーユーの強さが原因の一つだと見ています。私などとは比べ物にならないほどのファッション好きな業界人でも「夏場はユニクロUのエアリズムコットンオーバーサイズTシャツしか着ません」と言う人が何人もいます。またユニクロUのスエット(いわゆるトレーナー)やスエットパーカを「この価格でこの品質・デザインは他のファッションブランドでは実現できない」と言って何枚も買っている業界人も少なくありません。

業界メディアでは毎日、成長株の新規ブランドが紹介されていますが、いずれも売上高は5億~20億円程度で、2000年代半ばまでのように100億円規模に成長するブランドは皆無な状況です。とある中規模アパレル合同展主催者は「昔はブランドを立ち上げたら50億円、100億円くらいに成長させることができたが、今は卸売りブランドだと5億円、10億円に成長させることができればベストという状況です」と語っていました。よほど特徴的なアイテム以外はユニクロ、ジーユーで代替可能という状況が続いていることも大きな要因でしょう。

盛者必衰とは言われますが、最低でもあと5年間くらいはユニクロとジーユーの2強が続くでしょうから、アパレル各社はいかにユニクロ、ジーユーではカバーできないニッチな市場を狙うか、もしくはユニクロ、ジーユーと共存できるような売り方や商品を見つけるか、という姿勢が必要不可欠だといえるでしょう。

【関連記事】
10年前は「オタク専用アイテム」だった…ファッション業界が「アニメコラボ」に飛びつくようになったワケ
韓国産では見向きもされない…韓国の若者が「日本産ウイスキーでのハイボール」に夢中となっているワケ
「日本のアニメを乗っ取る」と言われていたが…動画配信サイトの赤字が止まらない中国アニメ業界の大異変
だからファミリー層からの圧倒的支持がある…業界トップになった「焼肉きんぐ」にあって「牛角」にないもの
「私は聞いていない」という上司はムダな存在…トヨタ社内に貼ってある「仕事の7つのムダ」のすさまじさ