撤退は「日本が見捨てられた」のではない

もちろん、海外ブランドごとにそれぞれの事情はあります。

フォーエバー21は本国が経営破綻してしまいましたし、トップショップは日本国内での運営会社の不手際がありました。しかし、フォーエバー21は本国が経営破綻する前から日本国内では不良在庫が積み上がっており「セール品2点目無料」という日本企業では考えられないような投げ売りを行っていました。

セール品を2枚買うと1枚はタダで差し上げるという内容ですから、どれほど不良在庫が積み上がっていたのかという状況です。要は「タダでいいから持って帰ってもらいたい」ほどひどい状況だったということです。

衣料品業界には舶来コンプレックスをこじらせたような人が多くいます。海外ブランドが撤退するたびに「日本は見捨てられた」という記事を目にしますが、それは逆で、日本人から見捨てられたから海外ブランドが売れなくなり、その結果撤退するのです。ではなぜ売れなくなるかというと、日本国内の低価格ブランド群が強すぎたためだと見ています。

ユニクロはいま最もメルカリで取引されているブランド

特にユニクロ、しまむら、ジーユーの強さは他を圧倒しています。以前から業界の内外では「ユニクロはもはや日本の国民服だ」と言われてきましたが、実際に統計データがあったわけでもなく、体感的な言葉に過ぎませんでした。今回、2つのアンケート記事が発表され、改めてユニクロとジーユーの強さが証明されたのでご紹介したいと思います。

まず、2023年にサービス開始からちょうど10年となったフリマアプリ「メルカリ」における取引ブランドについてです。メルカリによると、2022年に最も取引されたブランドはユニクロでした。2位はナイキで、ジーユーが6位にランクインしています。

一方、スタート当初の2013年は1位がシャネルでした。2位アップル、3位ルイ・ヴィトンとなっています。

フリマアプリで服を売る女性
写真=iStock.com/maroke
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