出世するのは「お父さん」タイプ

管理職には、お母さんタイプとお父さんタイプの2通りの人がいます。お母さんタイプは、いつも部下の様子を観察し、うまくいっていない様子だと「大丈夫?一緒にやりましょう」と手助けします。初めて管理職になったとき、私が思い描いていたリーダー像がまさにこのタイプでした。

一方お父さんタイプは、大きな方向性を示すだけで普段は放任し、「何か困ったことがあったら言ってこい」と、どっしり構えています。これは性差ではなく、リーダーシップのタイプです。男性でもお母さんタイプの人は多くいます。課長としては頼られるかもしれませんが、課長止まり。役員にはなれません。大きなチームを動かすことができるのはお父さんタイプのほうです。

私は新しいチームに管理職として配属されると、前任者からの引き継ぎはほとんど受けません。仕事は、現場の部下のほうがよく知っているからです。2週間から1カ月くらいかけて、チームの一人ひとりからじっくり話を聞きます。すると、チームの強みや弱み、抱える課題などが見えてきます。そして、チームが持っている潜在的な力を引き出して、弱いところを埋める方法を考えます。

考えた結果をもとにミッションや課題、今後の戦略などを取りまとめて発表すると、あとはチームのキーパーソン2、3人に任せてしまい、私はひたすらお客様訪問をします。

部下の仕事がうまくいっているときは、リーダーの出番はありません。リーダーの仕事は、チームの力を最大化することであり、自分が仕事をすることではないのです。

何か起こったときにこそ対応する、お父さんタイプのリーダーであるには、トラブルなどを報告しやすい雰囲気を持っておくことが重要です。それにはとにかく、いつも機嫌よくしていなくてはいけません。余裕がない雰囲気をつくっていると、部下は問題が起きたときに相談できず、抱え込んでしまいます。