筋トレしたらMCIから回復できた

僕の知り合いの編集者は、MCIと診断された経験があります。敏腕編集者でしたが、60歳を過ぎた頃からもの忘れが目立つようになり、ズボンのチャックを閉め忘れたり、仕事ではダブルブッキングをしたりするなど、ミスが目立つようになったといいます。

大学病院で検査を受けてMCIと診断された彼は、認知症デイケアに通い、絵を描いたり、楽器を演奏したりして回復に努めました。なかでももっとも手応えを感じたのが筋トレだったといいます。その甲斐あって、彼は健常な認知能力にまで回復することができました。

運動の認知症予防効果は、前述の論文のほかにも、世界中のさまざまな論文で発表されています。

とくにウォーキングなどの有酸素運動と筋トレの組み合わせが効果的といわれているので、「筋活」をしっかり続けてください。僕も認知症予防のために筋活を続けています。

MCIから認知症に移行することも

65歳以上の人のMCIの割合は15〜25%と推定されていますが、自分がMCIであることに気づかないままになっている人が多いといわれています。症状がひどい場合は、専門医を受診したほうがよいでしょう。

高血圧や糖尿病などの生活習慣病のある人は、MCIから認知症へ移行しやすいといわれています。これらの生活習慣病はメタボから発症することが多いので、肥満の人も注意が必要です。

MCIは認知症の予備軍といわれていますが、必ずしも全員が認知症に移行するわけではありません。ある研究によれば、生活習慣を改善すれば、約半数は健常な認知機能に回復できると報告されています。

認知機能を高めるトレーニングとしては、絵を描いたり、楽器を演奏するのが効果的だといわれています。また、新聞や本を読んだり、ゲームをしたりするのも認知機能の向上によいとされています。