制服をやめたら「貧富の差が鮮明になる」

3つ目は、制服をきちんと着られるようにするという「教育目的」です。

「制服くらい着こなせないと社会人としてやっていけないぞ」「学校は休みの日と違うのだから、いつでも面接に行ける格好でいなさい」「学校はおしゃれをするところじゃない」と、身だしなみ指導の目的を説明することがあります。

「学校の評判が悪くなると大学からの推薦枠や企業からの求人がなくなる、後輩に迷惑がかかるぞ」と生徒に連帯責任を感じさせることもあります。

4つ目は、制服をやめたら「貧富の差が鮮明になる」という恐れです。

私服にするとおしゃれ競争が加速し、経済的に苦しい生徒がいたたまれない思いをする。最悪の場合いじめに発展するのではないかと心配することがあります。

顔を覆い泣いている女子高生
写真=iStock.com/chameleonseye
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厳しい校則も「生徒のため」という感覚

まとめると、身だしなみを緩和すると地域からクレームが入ったり、生徒が荒れ出したり(不良化したり)、貧富の差が鮮明になる恐れがある。また制服を着こなせるようにするという教育目的がある。

きちんとした身なりだと学校の評判が上がり、ひいては推薦枠や求人も得やすくなる。そのために、教師は(致し方なく)制服着用を迫り、(致し方なく)厳しい身だしなみ指導を行うというわけです。

こうした理由が納得できるかどうかはさておき、ここで一点、強調しておきたいことがあります。それは、身だしなみ指導など厳しい校則を維持したいと考える教師も、「生徒のため」を考えているということです。