一部の高校では、生徒の髪型や服装などをチェックする「身だしなみ指導」が行われている。現役の高校教師である西村祐二さんは「私は最初にこの指導を見た時に違和感を覚えた。こうした指導は必要ないという教師も一定数いるが、『生徒のために厳しい校則は必要だ』と考える教師もいるため、理不尽な指導もなかなか見直されない」という――。(第2回)

※本稿は、西村祐二『シン・学校改革』(光文社)の一部を再編集したものです。

通りを歩く女子高生
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

1時間ほどかけて全校生徒をチェックする

全日制高校で部活動の強制加入とともに、驚いたものがありました。「身だしなみ指導」です。数カ月に一度、学年ごとに全校生徒を体育館に集めて、一人ひとり身なりのチェックを行うのです。

チェック項目は多岐にわたり、髪の毛が眉毛や耳にかかっていないか、学校指定のバッジを購入してつけているか、学ランの下にカッターシャツを着ているか、ベルトはしているか、スカートを規定の長さよりも短くしていないか、爪はちゃんと切っているか、靴下の柄はワンポイントまで等々……。

教師が数人ひとチームとなって、一列に並ばせた生徒をひとりにつき20秒ほどで見て回ります。全生徒を見るのに1時間ほどかかりますから、遅滞なく進めるために、生徒は両手を上げ手の甲を教師の方に向け、爪の長さが一目瞭然の状態で待っていました。

まるで刑務所の囚人のように見えた

自身の中高時代にも、初任校の定時制高校にもそのようなものはなく、35歳にして初めて「身だしなみ指導」を目の当たりにしたものですから、大変驚いてしまいました。

爪を見せるために手を上げて待っている様が、まるで刑務所の囚人のように見えたのです。

靴下の柄については、ワンポイントのデザインは可、ツーポイント以上は不可であると。しかし中には、縞々の靴下を履いてくる生徒がいます。すると教師同士で、これは縞ごとにワン・ツーと数えるべきか、縞々全体でワンポイントと数えるべきかと協議が始まるのです。見方によっては、ちょっとしたコントです。