サウナには、どんな効果があるのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「サウナに入ることで全身の各所にさまざまな指令を出す腸が温まり活性化して、幸せホルモンが分泌される。ビジネスエリートと呼ばれるような経営者がサウナにハマるのも、競争が激しいビジネス界で受けるストレスを上手に受け流すことができるからかもしれない」という――。
※本稿は、小林弘幸『医者が教える 心と体が本当にととのう サウナ習慣』(Gakken)の一部を再編集したものです。
「腸は第2の脳」ではなく「脳が第2の腸」
先の記事で述べたようにサウナは「血管の筋トレ」なのに、なぜ唐突に「腸」の話が出てくるのかと訝いぶかしむ方もいらっしゃるかもしれませんが、腸の存在なくして人体のお話はできません。
普通、人体の司令塔は「脳」だと考えがちですが、「脳腸相関」という言葉が示すとおり、脳と腸は互いに影響を与え合っています。そのため、脳がストレスを覚えるとおなかが痛くなったり、逆に腸に悪い菌が入ると脳が不安を覚えたりするのです。
また、「腸は第2の脳」という言葉もありますが、長年腸の研究をしてきた私からいえば、それは誤った言い回しで、本当は「脳が第2の腸」なのです。
私がかくいう理由は、発生学の見地からの考察であって、実は人間の体はまず腸ができたあとに脳が発生していることが判明しています。
生命活動を維持するために、脳は全身の各所に対してさまざまな指令を出していますが、その脳に対して指令を出している臓器は腸なのです。