サウナは体を動かしながら入るほうが健康効果は高い

私はサウナの中で軽く体を動かすストレッチや、3.6呼吸法を実践することなどをおすすめしているのですが、その目的は「腸」を鍛えることにあります(ストレッチや呼吸法については本書のPart.2を参照)。

おなかの上から腸をもむ「腸もみ」はもちろんですが、体をひねる、伸ばすといった動作もまた、腸に適度な刺激を与えてくれます。

サウナ室のキャパシティの問題はありますが、健康法という観点でいえば、体を動かさずにジッとサウナに入るよりは、ほかの人の迷惑にならない範囲で体を動かしながら入るほうが健康効果は高くなるといえるでしょう。

現在のサウナブームがこのまま続いて、より健康的なサウナの入り方が考察されれば、むしろ「サウナは体を動かしながら入る」というスタイルがトレンドになっていくかもしれません。

私自身も、サウナの中では自ら考案したストレッチをおこないながら楽しんでいます。

自律神経、また動脈や毛細血管などの血管を鍛えるのと同じように、みなさんには「血管の筋トレ」の一環として、ぜひサウナで腸を鍛えていただきたいと思います。

腸を温めると気持ちが穏やかになる

血管と同様に、腸を鍛える方法にもソフト面とハード面、2つの方法があります。

ソフト面でいえば、やはり食事です。たとえば、ぬか漬けやヨーグルトなどの発酵食品を摂ること、あるいは食物繊維の豊富な野菜やきのこ、海藻などを食べることです。

ハード面から腸を鍛える方法としては、第一に「腸を温める」ということがとても重要で、そのためにサウナは最適であるといえるでしょう。

間違いなく、腸の働きは温めることによって活性化します。実際、私は温めることによって腸が元気になる様子を何度も目の当たりにしています。

手術の経験が豊富な外科医であれば誰しも知っていることなのですが、開腹手術が終わると、切開した部分を縫合する前におなかの中を温かい湯で洗うことになります。

このことを「腹腔洗浄」というのですが、このとき温かい生理食塩水でおなかを洗うと、目視ではっきりとわかるほど腸の動きや色合いがイキイキするのです。

腹腔洗浄をおこなう目的は、術後に腸と腹壁、もしくは腸同士が癒着してイレウス(腸閉塞へいそく)を起こすのを予防することですが、温かい湯で洗うと腸がよろこぶのは確かです。

つまり、サウナで「腸を温める」ことはとてもいいことであるといえるわけです。