「どれだけ子どもに投資してきたと思っているんだ」

とりわけ就活で母親の存在は絶大だ。企業がオヤカクにこだわるのもよくわかる。母親が会社選びに介入し、子も逆らえず母親に依存する母子一体となった“パラサイト就活”の背景にはもちろん少子化の影響もある。

食品会社の採用担当者もこう語る。

「学生を見ていて優秀な学生ほど親に依存している感じだ。その理由について有名大学のキャリアセンターの担当者に聞いたところ、『どれだけ子どもに投資してきたと思っているんですか。小さい時から塾に通わせて多大な費用をかけて大学まで行かせた。名のある企業に就職してほしいというのは当然ですよ』と言われた。関西の有名大学に呼ばれて企業説明会に出かけた時も、学生の後ろに親がズラリと立っていたのに驚いたが、今では驚かなくなった」

親にとって、大事な息子・娘は、いわば20年間超に及ぶ教育投資の成果物であり、就活(大企業への内定)はその仕上げの作業ということなのだろう。

書類を胸にしっかりと抱えているリクルートスーツの女性
写真=iStock.com/byryo
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以前は、内定にほど遠い人材であっても今はチャンスがあるケースはほかにもある。

昔はどんなに優秀でも協調性のない自己チュータイプは特に大企業では嫌われたものだ。例えば2015年当時、消費財メーカーの人事部長はこう語っていた。

「ベンチャー企業は別にして、日本の大企業では人間としては最低でもイノベーターの可能性を秘めた人材を受容できる風土のある会社はない。人間としては最低だが、マーケターとしては天才的な片鱗を持つ人を生かすような仕組みを人工的に作らないと無理だろう。せっかく採用しても、教育担当や組織運営の担当者に渡したとたんにおかしくなってしまう。どうしようもないやつだというレッテルを貼られて各部門をたらい回しにされて、結局辞めることになる」

しかし8年後の今、デジタル人材やデータサイエンティストなどのIT人材はどこの企業でも喉から手が出るほど欲しい。そうした人材の中には、協調性に欠ける部分や世間の常識が通用しない人間性に問題がある者もいるが、それでも内定を出す企業が増えている。電機メーカーの人事担当者はこう語る。

「以前は何か光るものを持っている異能・異才タイプは、組織になじめないし、浮いてしまうということで敬遠されていたのは確かだ。採用しても入社後に辞めてしまうこともあった。会社の問題だが、受け入れる組織ができていないために弾き出されてしまうケースがあった。でも、人間的にはとんでもなくふざけたやつでも、デジタル人材など特定の能力に優れた人がイノベーションを起こしてくれるという考え方に変わった。ジョブ型人事制度を導入し、専門分野で活躍できるコースも設けており、そういう人材を積極的に採用している」

デジタル化やビジネスモデルの変化のスピードが早く、10年先のビジネスの行方も読めない時代だ。多様性こそがイノベーションを引き起こすと言われる今、マザコンだから、協調性がないから、自己チューだから、と人間性に問題があることを理由にして受け入れられないようでは、逆に会社の将来は危ういといえる。

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