訪問先を間違えただけで銃殺される社会

4月15日夜、ニューヨーク州オールバニ近郊で、訪問先を間違えて別の家の敷地に車で入った女性(20歳)が住人の男性(65歳)に銃で撃たれて死亡した。

彼女は3人の友人と共に車に乗っていたが、入る敷地を間違えたことに気づき、そこを出ようとしたところ、男が車に向けて発砲した。「4人は車から降りたり、家に入ろうとしたりしたわけではなく、誰も脅威になっていなかったのは明らかだ」と、地元の保安官は語った。それなのになぜ、撃たれなければならなかったのか、男は第2級殺人罪で起訴された。

この種の事件は頻発しており、その2日前にはミズーリ州カンザスシティーで、黒人の高校生(16歳)が訪問する家を間違えて玄関の呼び鈴を鳴らしたところ、中にいた白人男性(84歳)に頭と腕を撃たれて重傷を負った。

玄関の呼び鈴を押す指
写真=iStock.com/Kameleon007
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白人男性は警察に、「身長182センチくらいの黒人男性が玄関ドアのハンドルを引いたので、侵入だと思った、撃ちたくはなかったが、大柄だったので死ぬほど怖かった」と述べたが、実際は黒人少年の身長は172センチで、ハンドルは引いていなかったという。

この事件も被告の「過剰反応」の結果、起きたものと思われるが、他に人種差別的な要素も絡んでいたようだ。白人男性は第1級暴行罪などで起訴され、有罪となれば終身刑を言い渡される可能性があるという。

乗ろうとした車を間違えただけで銃撃された女子高生

さらに4月18日未明、テキサス州オースティンのスーパーの駐車場で、女子高校生のチアリーダー2人が男に銃撃された。2人のうち1人が男の車を自分の車と思い、近づいて乗ろうとしたことがきっかけだったとみられる。

彼女は間違いに気づき、自分の車に戻ってから窓を開けて謝ろうとしたが、男は銃を取り出し、2人に向けて撃ち始めたという。1人はかすり傷で済んだが、もう1人は重傷を負い、病院に搬送された。

それにしてもなぜ、このような事件が頻発するのだろうか。その背景には、怒りや憎しみを抑えられずに銃を使ってしまう人が多いことに加え、米国内の銃の数が激増していることがある。