連日報道される銃による大量殺傷事件
米国ではここ十数年のあいだに、銃による大量殺傷事件が増え続けている。ABCやCBSなどのネットワーク局では、「またもや悲劇が起こりました……」「銃で撃たれて10人が死亡、13人が負傷しました……」といったニュースがほぼ毎日のように報道されている。
この数週間の間に全米各地で起きた銃撃事件をいくつか見てみよう。
日本ではゴールデンウイーク真っただ中の5月6日、午後3時半ごろのこと。テキサス州ダラス近郊のショッピングモールの駐車場に、殺傷力の高いAR-15型の半自動小銃(ライフル)を持った男が車で到着した。黒ずくめの服に防弾チョッキをつけた彼は車外に出たとたんに発砲を始め、駐車場にいた買い物客らを銃撃し、モールの中へと進んだ。
買い物を楽しんでいた多くの客や店の従業員は、銃声を聞いて必死で逃げた。トイレのクローゼットに隠れた人たちは銃声や叫び声を聞いて、「次は自分たちだ」と思い、祈り始めたという。
事件発生から5、6分ほどして、犯人の男は駆けつけた警察官に射殺されたが、その時にはすでに5歳から61歳の8人が犠牲となり、7人が負傷していた。
33歳の犯人は事件前、SNSに白人至上主義や人種差別、女性に対する憎しみなどに満ちた数百件の投稿をしていたというが、日頃の欝憤を晴らすために犯行に及んだとみられる。
テキサス州ではその約1週間前にも凄惨な銃撃事件が起きていた。州南東部のクリーブランドで、隣人に「子供が怖がるので、庭で銃を撃つのをやめてほしい」と言われた38歳の男が逆上し、その直後、銃を持って隣の家に庭から押し入り、9歳の男の子と母親を含む5人を殺害したのである。
このように怒りや憎しみを抑えられずに銃を使う人が増えているのに加え、ちょっとした間違いが原因で起こる銃撃事件も頻発している。4月半ばには立て続けに3件も起きた。