男女の関係を上手く保つ秘訣は何か。妻とは別々に暮らしている漫画家の弘兼憲史さんは「『別住』には、夫婦が一緒に暮らしていては経験できないさまざまな『気づき』がある。それは、夫婦間の愛情の変化、そして新しい愛のカタチを知るきっかけになるのではないか」という――。

※本稿は、弘兼憲史『弘兼流 70歳からのゆうゆう人生「老春時代」を愉快に生きる』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

孤独な男がコーヒーを飲み、リラックスする
写真=iStock.com/Nes
※写真はイメージです

弘兼憲史が注目するサブスク型の新たなライフスタイル

「別れる事は美しき哉」

先の記事でそう述べましたが、誤解のないように申し上げますが、なにも世の夫婦に「早く別れなさい」と推奨しているわけではありません。

始終一緒にいてお互いがストレスを感じたり、お互いの言動がやたらと気になったり、その結果、不快な空気が流れてしまうようなら、ライフスタイルをリメイクしてみてはどうかというのが私の考えです。

その意図から私は、近郊に家庭とは別にひとり暮らしのスペースを持つ「デュアルライフ」や「別住」を提案しています。

それが無理なら、ひとつ屋根の下に暮らしながら、お互いの活動時間を意図的にオーバーラップしないようにする。あるいは干渉しあわないように居住空間を独立させるという方法もあります。もちろん、夫は家事一切を自分でこなすのは当然です。

もうひとつ、私が注目しているライフスタイルがあります。

「株式会社アドレス」が運営している「定額住み放題 多拠点生活プラットフォーム」です。1カ月定額料金で全国に点在する住宅の部屋に住めるというシステムです。

礼金、敷金などの初期費用は一切なし。生活に必要な設備、寝具、料理道具などは揃っている。もちろんネット環境も完備。このシステムの利点は、運営する各地の住宅に好きなときに何回でも移り住めるということ。

「いつもの場所がいくつもある、という生き方。」

このキャッチフレーズが示す通り、一カ所での定住ではないのがミソです。