急速な変化で非常識が常識になる瞬間

いまシェアハウスがブームですが、さらに一歩進化してひとりで複数のシェアハウスを利用できるということになります。二親等以内の家族、固定のパートナーも無料で利用できますから、「別住」を望む夫婦以外でも利用価値はありそうです。

リモートワークが可能であれば現役世代の「別住」や「ひとり暮らし」にはピッタリといってもいいでしょう。

ロケーションも、海や山などの自然に恵まれていますから、都会の喧騒を離れて暮らしたい人にもおススメでしょう。交通費はかかりますが、気分転換に「短期移住」を繰り返すことも可能です。

コロナ禍はそう簡単には終息するとは思えませんし、新たな感染症の可能性を指摘する専門家もいます。

そうならないことを願うばかりですが、私たちはコロナ禍で、外出自粛、三密回避など極端に行動が制約されたこともありました。そして、これまで常識とされてきたライフスタイル以外のライフスタイルもあることを知りました。

リモートワークはそのひとつです。

以前から、IT関連企業などを中心にリモートワークを導入していた企業はありましたが、少数派にすぎませんでした。けれども「やむにやまれず」急遽(きゅうきょ)、リモートワークに切り替えた企業も、導入してみると不都合がないことに気づきました。

「円滑な業務が可能なのか」
「社員が家でサボるのではないか」

聞くところによると、そんな懸念を示していたある会社の総務担当役員が、こういったそうです。

「交通費や打ち合わせ費、残業代が減って、コスト削減になった」

一方では、若い層を中心に「家のほうが仕事もはかどる」という声も上がっているそうです。

また、多くの人が「誰かと会わなくてもそんなに困らない」ということにも気づきました。私たちは、常識が非常識に、非常識が常識になるシーンに立ち会ったといってもいいでしょう。一流企業は一等地に一流の社屋を持つという常識も、近いうちに非常識になるでしょう。

いままで常識とされてきた家族、夫婦、ひとり暮らしの人のライフスタイルも、急速に変わっていくことは間違いありません。

その意味では「いつもの場所がいくつもある、という生き方」は、新しい時代の新しい暮らし方として、十分に検討に値するものだと私は感じます。

「女性脳」の構造を男はわかっていない

「虎の尾を踏む」という言葉があります。ご存じでしょうが、非常に危険なことをしてしまうことのたとえです。

考えてみると、夫婦、家族、友人、仕事関係、あらゆる男女関係において、この危険が潜んでいるように私は思います。とくに夫婦関係においては、ちょっとした言動が虎の尾を踏むことになりかねません。

20年、30年と長い間一緒に暮らしてきた夫婦であっても、踏まれると怒りが爆発してしまう「尾」をお互いが持っていることを忘れてはなりません。

もっとも、一度や二度相手の尾を踏んでも、相手が我慢するなり、話し合って誤解を解くなり、謝罪するなりすれば、なにもなかったかのように修復することは可能なのですが、何度も踏んでしまうと夫婦の間にギクシャク感、不快な距離感が生じます。

とくに夫はしばしば妻の尾を踏んでしまいます。

「なぜ、いまになって何十年も前の話を蒸し返して怒りはじめるのだろうか?」

相手は妻にかぎりませんが、あなたが男性なら、想定外の女性の反応に戸惑ったことがあるはずです。

その原因はどうやら「男性脳」と「女性脳」の違いにあるようです。

ここから先はベストセラーになった黒川伊保子氏の著書『妻のトリセツ』(講談社)で知ったことなのですが、女性が過去の話を蒸し返して怒るのは「女性脳」の特徴によるものだというのです。

「すでにケリがついたはずの過去の失敗を、まるで今日起きたことのように語り出し、なじる妻。<中略>女性脳は、体験記憶に感情の見出しをつけて収納しているので、一つの出来事をトリガーにして、その見出しをフックに何十年分もの類似記憶を一気に展開する能力がある。つまり、夫が無神経な発言をしたら、「無神経」という見出しがついた過去の発言の数々が、生々しい臨場感を伴って脳裏に蘇ることになる」(同書より)。

ちょっと引用が長くなりましたが、妻や恋人、あるいはほかの女性を怒らせたり、泣かせたりした過去のシーンを、多くの男性は思い出すのではないでしょうか。

この本ではトリガー、つまりは引き金という言葉を使っていますが、私流の解釈をすれば、女性は何本もの尾を持っているということになるでしょうか。