パンドラの箱は開かれた
以上は、神戸大学MBAをめぐる現時点での筆者個人の考えである。今後のChatGPTの進化に伴って、さらに対応を調整していく必要はあるだろうし、筆者とは異なる評価基準に基づく講座などでは、また別の対策が求められるのだろう。
ChatGPTは、私たちの学び方に変革をもたらすだろう。規制などによってChatGPTを使用しない方向に向かうのではなく、いかにうまく使いこなすかを考えるべきだと筆者は考える。もちろん、それぞれの目的やメソッドをもつ多様な教育現場に、一律に当てはまるような使い方は存在しないだろう。むしろそれぞれの現場で、どのような人が、どのような学びのために、どのように使うのかという観点から、ChatGPTの健全な活用法を検討する必要がある。
パンドラの箱は開かれ、新たな百家争鳴が始まった。
【ChatGPT-3.5のレポート課題への回答例】
User
1950年代のレストイルの成功要因を整理してください。
ChatGPT
1950年代のレストイルの成功の要因は以下のようにまとめられます。
経済的繁栄:第2次世界大戦後の1950年代は、アメリカ合衆国において経済的な繁栄が訪れた時期でした。戦争によって抑圧されていた人々が、平和な生活を楽しむことができるようになり、豊かで快適な生活を送ることができるようになりました。この繁栄は、人々が高級な消費財を購入することができるようになり、レストイルの成功につながりました。
自動車の普及:自動車が普及したことにより、レストイルはますます人気を博しました。人々は自動車でドライブインレストランやドライブインシアターなどの施設に行き、食事やエンターテインメントを楽しんだり、自分の車を改造したり、カスタムカーを所有したりすることで自分たちのアイデンティティを表現することができました。(後略)
筆者注:いずれも元のケースドキュメントにはない内容です。1つ目の回答は冗長なだけで、レポートの評価にあたっては加点とはなりません。さらに2つ目の回答では、レストイルという合成洗剤の商品名を、古い自動車のレストア(修理・再生)と間違えています。大減点になる記述です。
User
洗剤のレストイルについて教えてください。
ChatGPT
洗剤のレストイルについては、いくつかの要素があります。
パッケージデザイン:洗剤のレストイルにおいて、最も重要な要素はパッケージデザインです。消費者は、商品のパッケージデザインに魅力を感じることがあり、デザインが優れている場合は、競合他社の商品よりも優先的に選ぶことがあります。そのため、洗剤メーカーは、パッケージデザインに多くのリソースを投入し、消費者の目を引くようなカラフルで派手なデザインを採用することがあります。(後略)
筆者注:1950年代のレストイルのパッケージングは、競合より使いにくく、消費者の目を引くようなデザインの工夫にも乏しいものでした。大減点になる記述です。