並(1100円)をシェアして食べられる

日本の二郎と同じ味で感激した、といって中国のショート動画に食べている様子を投稿する人もいて、それを見た人が来店するというサイクルで口コミが広がった。中には四川省など遠方から、わざわざ食べに来る顧客もいるという。

『大衆点評』に投稿された顧客コメントを見ると、味のよさだけでなく「日本のラーメン屋さんみたいでうれしい」と内装に対する書き込みも多い。

店内にはカウンター席とテーブル席があり、壁に無造作に貼られた昭和風のビールのポスター、赤いテーブル、丸椅子なども、日本の懐かしいラーメン店のような雰囲気を醸し出し、若者にとって“映えるポイント”になっている。

メニューを見ると、二郎系ラーメンの「並」は58元(約1100円)、「ミニ」は45元(約855円)。「並」は1キログラムくらいになるため、女性ならシェアして食べることもあるそうだ。

コロナ禍で日中間の往来は大幅に減った。コロナ前の19年の訪日中国人観光客は約959万人だったが、22年は約18万9000人にまで減少。一時は航空路線が大幅に減少し、航空券も高騰した。

お互いに現地に足を運べるのは、親族がいる人、企業派遣の駐在員などごく一部に限られるようになった。

報道やSNSの情報量は10年前よりはるかに増えているが、一方でコロナ禍以降、報道やSNSでしか、お互いの様子を知る術がなくなった。

感心するのはやっぱり「国民の素質の高さ」

上海を中心に、教育家として中国と日本を頻繁に往復している男性に聞くと、彼が常々感じているのは、やはり日本人の素質の高さだという。

「日本人は法律をきちんと守りますよね。人が見ていなくても、大半の人は信号を守ります。それができるのは素質が高いからです。国民全体の素質が高くなると政府への不満も自然と減るのです。

中国の場合は逆。国民の素質が低く、ルールを守らない人が多いので、政府は強制的に対応するしかない。すると、さらに国民も反発するという悪循環が起こるのです。

もちろん、最近は中国人もルールを守るようになったといわれます。確かにそうですが、それは罰金や氏名公表などの罰則があるから。自ら進んでルールを守っているわけではありません。だから監視カメラも必要だし、罰則をやめられないわけで、すべては人々の素質に起因するものだと思います。

日本では、道端でのケンカはめったに見かけません。日本人の多くは政府に不満があっても文句をいわず、自分にできる範囲で解決したり、我慢したりして生きている。だから秩序が保たれて社会は安定している。すべては教育やしつけに由来していると思います」