日本のビジネスパーソンは諸外国に比べ「学習」をしない。パーソル総合研究所の小林祐児・上席主任研究員は「学ぶ意欲は他者との相互作用によって生まれやすい。ところが、日本人は『同僚や友人との付き合いが無い割合』が世界最悪レベルであるなど、学習の動機が生まれにくい。つまり、つながりの貧困さが、学習の乏しさを招いている」という――(第4回)。
ワンハンドランチを頬張りながらノートパソコンを使用している男性
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「学び」は他者との相互作用で生まれる

国際的に見ても圧倒的に学ばないのが日本の社会人です。自発的に学ぶ習慣が無い人がとても多いという問題を放置しても、国や企業が推進する「リスキリング」はうまくいきません。個人がどんなに「稼げる資格」や「必要なスキル」の情報を集めたとしても、多くの人は学び続けることができないからです。今回は、この難問に対して、学びと「他者」との関わりの面からアプローチしていきたいと思います。

学習に関わる諸研究者たちが約半世紀にわたって解き明かしてきたことは、人々の学びは他者との相互作用の中で「社会的」かつ「共創的」に営まれるということです。つまり学ぶ本人とその周囲にいる「他者」とのさまざまな関わり方です。今、日本ではリスキリングとともに「独学」がブームになっていますが、一人で地道に資格の勉強をするような、「他者」の存在しない学びのイメージは、現実にわれわれが行っている大人の学びの在り方を見ると、きわめて視野が狭いものです。

リスキリングにおいて「他者」が果たす機能をザックリと大分すれば、「真似し合い」「教え合い」「創り合い」「高め合い」の4つの機能です。乱暴なくくりではありますが、「リスキリング」の実践を考えていくためには思い切ったカテゴリ分けをしてみました。順にみていきましょう。

【図表】リスキリングと「他者」との関わり
筆者作成