日本人の勤労者のうち「社外学習を行っていない人の割合」は46.3%で、世界的に見てもダントツで高い。なぜ日本人は学ばないのか。徳岡晃一郎、房広治『リスキリング超入門 DXより重要なビジネスパーソンの「戦略的学び直し」』(KADOKAWA)より、紹介しよう――。(第2回)
ラッシュアワーの東京駅を歩く人々
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なぜ日本は「学ばない国」になってしまったのか

リスキリングへの機運の高まりは、そもそも学びが欠如している危機感の裏返しでもあります。残念ながら日本はいつの間にか「学ばない国」になってしまっています。

まず、企業の人材教育のレベルが低下しています。欧米に追いつき追い越すことが目標であった高度経済成長までの時代、日本企業は人材への投資を重視し教育に大きな予算を振り分けていました。

転機になったのは、追いつき追い越す目標を達成してしまった頃でしょう。1980年代を通じて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」というおごりが出てきたところで学びに対する貪欲どんよくさが薄れました。そこに、バブル崩壊が続き、企業として人材教育に振り向ける予算が削られ、そのまま学ばない姿勢が定着してしまいました。

イノベーションが求められる今の時代、企業にとっての従業員教育は「投資」であると捉えるべきです。にもかかわらず、現状では多くの企業がこれを「コスト」と捉えています。よって、収益性という観点からは削減の対象とみなされます。GDP比で見た人材投資(OJT以外)の国際比較(図表1)を見てください。

他の国に比べて人材への投資が少ないばかりではなく、その比率が年々低下していることがわかります。

生活に「学び」を取り入れていない人がダントツで多い

社外学習や自己啓発を行っていない人の割合(図表2)も目を覆うものがあります。日本企業の人への投資が減少しているばかりか、個人としても生活や習慣のパターンの中に、学びが位置づけられていないということです。