高学歴で一流企業勤めでも自信が持てないケース

瑛さんは、誰もが聞いたことがある有名大学を卒業し、業界トップの金融機関で働いています。上司からも期待をされていますが、いつも自分に自信がなく、自分の実力が偽物のように感じられるといいます。

自分はおかしい、自分は汚れている、というスティグマ感(罪悪感、劣等感)が強く、それが他者にバレないか、という不安が根底につきまとっているといいます。

「自分に自信がない」という訴えに相談を受けたカウンセラーも「そんな有名大学を出て、一流企業にいらっしゃるのに、ですか?」と思わず尋ねてしまうほどです。

瑛さんは、「いや、大学もガリ勉で入ったもので、周りの秀才たちとは違います」「今の会社も、学歴のおかげで入ったようなものです」と卑下するように答えるのです。瑛さんは、「かなり気張って接してはじめて堂々としていられる」といいます。頭の中で、自分を責める声がして、仕事でうまくいかないことがあると自分を罵倒してくるそうです。

街並みを眺めるビジネスパーソン
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「もう頑張り続けることはできない」…将来へのなんとも言えない不安

そして、ずっと将来が漠然と不安であることにも苛まれています。このまま自分の人生が何もないままで終わってしまうのではないか? 自分は何者にもなれないのではないか? というなんとも言えない不安があるのです。

そして、ビジネス書や自己啓発の本を読む間は癒やされますが、しばらくするとまた不安になります。休みの日も、何か研鑽を積んでいないと焦りと不安でいても立ってもいられなくなります。

ただ、例えば闇雲にビジネススクールや英会話を受講しても意味がないだろう、というのは頭ではわかるのです。しかし、何もしていないことが不安でしかたありません。一方、幼いころから受験勉強をしてきて、努力を続けて「もうこれ以上頑張り続けることはできない」という疲労感も感じています。異動することになったのですが、その忙しい部署で自分がついていけるか不安を感じています。