ヒント3 親のボケで楽しく気づかせよう

→大人の正しい声かけ例「(ボケて)おなかがすいてるなら、食べに行こう!」

心理的安全性のために大切なのは、相手の発言を否定しないことです。正しいことを指摘しているつもりでも、言われた側が否定されたと思ったら意欲はしぼんでしまいます。

だれだって、「日本語がおかしい」「何を言ってるのかわからない」と言われると、すごく嫌な気持ちになりますよね。賢い親は、子供を論破するような言い方はしません。本人に気づかせるのです。

間違っていると言ってはダメなら、どう言えばいいのか。私が授業で子供と話すときに、使っているコツをお話しします。

子供の話でありがちな間違いは大きく3つです。

1 主語がない
2 理由がない
3 理由がおかしい

でも、話している子に「はい、ストップ。主語言ってない!」と指摘したら黙ってしまうでしょう。

私のおすすめは親が徹底的にボケることです。

たとえば1の「主語がない」場合。子供が唐突に「おなかがすいててさ」と話し始めたとします。文脈から「ははあ、弟の話をしているな」とわかっても、「よし、おなかがすいてるなら、食べに行こう」と食事に出かけるふりをする。そうすると必ず「違うよ! お・と・う・とが、おなかがすいてるんだよ」と自分で主語を入れてくるはずです。

父と息子のリラックス
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです

「それじゃあ伝わらないよ」と正面から言われると腹が立ちますが、こちらがボケてやることで、やんわりと気づかせることができるのです。

同じように、2の「理由がない」話をしだしたら、ありえない理由をつけて返してやる。3の「理由がおかしい」場合は、その理由だと成立しない例を返してやるのです。

面倒なようですが、やってみると楽しい。うまくボケて、否定された気持ちにさせずに気づかせてやってください。