求められるまま転職
母親には「法律事務所でバイトをしながら弁護士を目指す」とそれらしいことを報告し、ヘルスで稼いだ金で実家を出た。
「ヘルスを本業にすると決意しても、友達や家族の前で宣言できなかったんですよね。それに、体力勝負の仕事です。結局、働いていたのは20歳から27歳までの7年間なのですが、25歳くらいまでは仕事で存分に男性と肌を重ねてもまだ物足りなくて、男友達を呼び出して“して”いました。
しかし、26歳から体力的にきつくなったんです。その頃から『これは一生の仕事ではないんだな』と思うようになりました」
26歳のときに、ナンパされた男性に大学名を言うと「そんな頭がいいんだったら、ちょっとバイトしてよ」とその男性の友人が経営するIT関連会社で入力のバイトをすることになった。
「当初はヘルス勤務と並行していました。でも、半年もしないうちに仕事量が増えていって正社員になり、ヘルスの仕事を辞めざるを得なくなったんです」
40歳取引先の男性との不倫の果てに
しかし、体は異性を求める。会社に男性は3人おり、いずれも30代で既婚、子供もいた。不特定多数の性交渉が好きなタイプの人はその中にはいなかった。社長からは「ウチの会社では恋愛をしないでほしい」と釘を刺された。
そして、28歳のときに大きな転機があった。
「初めて恋をしたんです。12歳年上の男性と、心から愛し愛された。彼と交際しているときは『この人としかしたくない』と思いました」
相手は当時40歳の取引先の男性で、結婚していた。支配的な専業主婦の妻がおり、1日に3回、居場所の自撮り写真付きのLINEをしなければならなかった。
玲奈さんは妻からあっという間に特定され、執拗な嫌がらせを受けた。結局、男性は妻と離婚し、玲奈さんも彼も妻に対して多額の慰謝料を支払った。
「彼は42歳、私は30歳で結婚しようかと思いましたが、一緒に住み始めると彼の、優柔不断なのに独善的なところが愛せなくなった。私の父親と重なったこともありました。結局、2年同棲して、33歳のときに別れました。その間は、彼以外としなかったのですが、最後のほうは満たされなくって浮気していました」
同棲期間中、彼の性欲は減退していった。そもそも彼は離婚時に元妻の鬼のような形相を見たことなどがきっかけで勃起不全になった。仕事も多忙になり、体力的に行為をせずに寝てしまうようになった。
彼はコンプレックスと不安から、玲奈さんを支配するようになっていく。
「男がいる飲み会は禁止されました。残業も浮気だと疑って、自撮り写真を送るように言われたんです。元妻と同じようなことをしてくるんですよ。決定的だったのは、実家から転送されてきた同窓会の案内に“欠席”に○をつけて返信していたこと。
性産業勤務のときは同窓会に出たいとは思わなかったけれど、今の私なら出られる。それなのにそういうことをするので、私の心も離れていきました」