「政治3、4世」がゴロゴロいる異常な世界
安藤優子氏の『自民党の女性認識 「イエ中心主義」の政治指向』(明石書店)によれば、親族に首長や地方議員が存在する場合も含めると、2014年の衆院選時、自民党議員の41%(男性40%、女性48%)が血縁継承者だったという。
しかも、日本は歴代総理大臣の7割が「世襲議員」だ。アメリカでは上院下院合わせても世襲は5%程度しかないというので、世界的に見ても、かなり異常な「世襲政治家が仕切る国」なのだ。
もうマスコミも飽きてしまったので扱わないが、宗教の世界には「宗教2世」という問題があって、その閉鎖性から一般社会の常識とかけ離れたさまざまなトラブルが起きている。
だが、政治の世界は、「政治2世」なんてかわいいもので、「政治3世」「政治4世」がゴロゴロいる。こんな「異常な世界」で常識外れのトラブルが起きない方がおかしい。
岸田首相と翔太郎氏をボロカスに叩いて失脚させれば、何やら日本の政治が変わるような気がしている人も多いだろうが、残念ながら何も変わらない。
「世襲」という根本的なシステムが温存されている限り、次に出てくるのも、岸田親子と似たような政治3世や政治4世なので、これまで通りのエスタブリッシュメント一族が仕切る政治が繰り返されるだけだ。
首相の息子がどうしたこうしたと騒ぐのも面白いが、いい加減そろそろ「世襲」をベースとした政治・社会システムの問題にも目を向けるべきではないか。