メンタルを前向きにしておく

現役東大生が実際に使っていた緊張を緩和する方法はまさに十人十色でしたが、おおむね「精神状態を前向きに保つようにする」という面では一致している回答が多くありました。具体的には、「前向きな意見をくれる人と話すようにする」だとか「大事な試験の前の日には好きな漫画を読んだり、好きな映画を見たりしていた」という回答がありました。

何気ない意見ですが、「前向きな意見をくれる人と話すようにする」というのは、大変効果がある方法です。

もちろん、ネガティブな意見で批判してくれる人も、大変貴重な存在ではあります。しかし、大一番の直前にもなれば、「やっぱりこんなことをすべきではなかった」という一歩引いた意見よりも「いまやるべきことを全力でやろう」という、前に向かって全身全霊で突き進んでいけるような意見のほうが力になります。前向きな意見をくれそうな人にエールをお願いしてみるのも、一つの手でしょう。

いつも通りでない「かつ丼」は避けるべき

また、「いつも通りの生活をする」というのも大事な手段です。「大事な場面でいつも通りなんていいのか」と思われるかもしれません。でも、本当は逆なんです。「いつも通り」こそが、一番いいことなんです。

昔のゲン担ぎとして「試験や試合に勝つようにかつ丼を出す」なんていうものがありますが、実は、これはあまり良くないんです。なぜならば、あまりにも試験や試合を特別視しているから。自分では大したことがないと思っていても、周りの人があまりに騒ぐものだから、逆に緊張してしまったという事例もよくある話です。

かつ丼
写真=iStock.com/kyonntra
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他にも、「お守りを渡す」というのもよくある応援方法だと思います。これも少量なら悪くはないのですが、過ぎた願掛けは逆効果になるかもしれません。想像してみてください。試験当日に家族や親戚から贈られたお守りをリュックやカバンにじゃらじゃらと付けた状態で、果たして万全に実力を発揮できるでしょうか。むしろ、いつも通りではないという違和感や、家族からの期待によるプレッシャーが足を引っ張る可能性も否めません。

「いつもと違う」という感覚はストレッサーになります。いつも通りとは違う環境が、特別な日、特別な場所、特別な場面であることを思い起こさせてしまい、緊張する羽目になってしまうのです。

これを避けるためには、「いつも通り」な環境を常につくり出すことが効果的です。例えば、先ほどの意見にもあったように「いつもと変わらない日常を過ごすようにする」というのも良いでしょう。試験などの非日常的な空間をあまり意識することなく、日常生活の延長線上に持ってくることが可能になるからです。