「緊張している自分」をメタ認知する

緊張をほぐすための技もありました。それは「自分をメタ認知する」というもの。メタ認知とは自分を客観的に見る技術のこと。「あ、いま自分は緊張しているんだな」というように、一歩引いたところから自分を見ることによって、どこか他人事のように考えることができます。こうして緊張を回避するのだというのです。

これもまた面白い意見です。自分自身をメタ認知することは、確かに有効な手段です。僕自身も緊張してしまいそうなときは「うわー、自分緊張してるなぁ」と、どこかのんきに考えることで、緊張をやり過ごすことができました。

さらに、メタ認知することにはもう一ついいことがあります。それは視野が広がること。自分が緊張してしまうほどの大一番、おっかなびっくりしているのは自分だけとは限りませんよね。

例えば、すまし顔で隣に座っている女性も、いかにもできそうな雰囲気を醸し出している男性も、実は内心びくびくしているかもしれません。もちろんこれは妄想ではありますが、そんなことを考えるだけでもちょっとおかしく思えて、もしかしたら緊張がほぐれるかもしれません。

緊張を吹き飛ばすほど勉強するのが一番の克服術

しかし、一番多かった意見は「緊張しないくらいに勉強(練習)すること」という意見でした。緊張してしまって試験を恐れる心は、きっと自分自身の至らなさを振り返るところからきているのだから、そんな隙が生まれないほどに万全の準備を整えれば大丈夫だろうというのです。

試験勉強中の学生
写真=iStock.com/fotostorm
※写真はイメージです

さすがは難関試験を突破してきた東大生だと思わされる回答ですが、確かにその通りだとも思います。最後に頼れるのは自分自身なのですから、「自分は敵を恐れてしまう程度の練習しかしてこなかったのか」と改めて問い直して、自分自身を奮い立たせることは、意外と有効な手立てなのかもしれません。

実際に東大に合格した受験生が「精神的支柱」としていたのは、「使い古した参考書」でした。自分が長年使ってきた参考書たちは、いつも通りの自分を取り戻すための手掛かりになりますし、なにより自分がそれまで頑張ってきたことを表してくれる軌跡でもあります。最後に頼れるのは自分自身であるからこそ、使い古した参考書があると落ち着くという意見が出てきたのかもしれません。

本番に向けてこれからできることは多くありません。しかし、どんな困難な状況であったとしても、工夫次第で立ち向かうことができます。これを「無駄なあがき」とするのか「有効な手段」とするのかは、自分次第です。せっかくの大一番、良い結果を出せるように頑張ってください!

【図表1】東大生が受験生時代に実践していた主な「緊張緩和術」
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