STEP1 目的と目標を明確にする

「目的と目標の違いは何でしょうか?」

私はセミナーや研修で毎回この質問をします。目的も目標もよく使う言葉ですが、この質問に自信を持って答えられる人はほとんどいません。

なぜこの質問をするのかと言うと、前に進むために必要な質問だからです。何かを実行し達成するためには、目的と目標の意味を正しく理解しなければいけません。では、一緒に意味を確認しましょう。

目的は、「的」という字からわかるように、目指す到達点やゴールのこと。

弓道の的を想像してみてください。的は必ず1つ、同じく目的も1つなのです。

わかりやすく言うならば、登山のときに目指す山の頂上のようなものです。

一方で目標は、目的を達成するための具体的な手段のこと。

「標」は道標と使われるように、途中で目に見えて認識できる通過点を指します。

入社時、私は完全に目的と目標を混同していました。

当時は目的を「CAになること」と考え、CAになった途端目的を達成したと思い込みました。そして次の目的は、とりあえず「接客を学ぶこと」にしました。

28年間ブレずに飛び続けたのは、「なぜ」を突き詰めて考えたから

しかし、ひとえに接客と言っても、その意味合いは幅広く、あまりにも漠然としています。挨拶1つをとっても先輩CAたちの挨拶は何かが違い、一般的な接客の知識だけでは不十分ということだけ想像できましたが、どこを目指せばいいのか、自分ではわからず途方にくれました。

そんなとき、上司のチーフが私にこう聞いたのです。

チーフ「桜井さん、あなたは誰のために仕事をやっているのですか?」

私「もちろん、お客様のためです」

チーフ「では、なぜJALのCAになったのですか? ほかの職業でもお客様のために仕事はできますよ」

確かにその通りです。ドキンとして答えに詰まりました。私はこの「なぜ」という質問で、自分の仕事と人生について考えなければならなくなってはじめて、目的と目標がハッキリしました。

私の人生の目的は、「CAという仕事を通して、自分の人生を充実させること」。その目的を達成するために、そのつど必要な目標を立て達成するようにしました。

「なぜ」を突き詰めて考えることで、目的はぶれないまま28年間飛び続けることができたのです。