ということで、氷河期を迎えている男性アナとはまた違う事情ではありますが、女性アナたちもやはり辞めたくなってしまうのが現状なのです。

もう二度と「カトパン」は現れない

私たちはつい「次のカトパンは誰だろう?」と考えてしまいます。「次世代のスター女子アナはいったい誰なのか?」と期待するのです。しかし残念ながら、もうスター女子アナの時代は終わりました。もう二度とカトパンは現れません。

フジテレビが開催する夏のイベント「お台場合衆国2013」の記者会見。加藤綾子さん(左)と三田友梨佳さん=2013年6月10日、東京都港区台場
フジテレビが開催する夏のイベント「お台場合衆国2013」での記者会見。加藤綾子さん(左)と三田友梨佳さん=2013年6月10日、東京都港区台場(写真=時事通信フォト)

スター女子アナの時代が終わり、「地味女子アナの時代」が始まったのです。

スター女子アナと聞いてあなたが思い浮かべる現役の女子アナは誰ですか? 局に所属するアナウンサーで名前が挙がるのは、せいぜい日本テレビの水卜麻美アナとテレビ朝日の弘中綾香アナ、フジテレビの三田友梨佳アナくらいではないでしょうか。

あとの人は局に所属していない、つまり厳密な意味では「タレントさん」かも。たとえば、新井恵理那さんはセント・フォース所属のタレントです。これからは、事務所に所属するタレントがこれまでの「スター女子アナの役割」をこなすほうが、都合がいいのです。局にとっても、本人にとっても。

なぜ局にとってスター女子アナよりタレントがいいのでしょうか? それは「働き方改革」の問題があるからです。かつてはテレビ局にとってスター女子アナは、とてもありがたい存在でした。独占出演してくれて、朝から晩までガンガン働いてもらえる、「視聴率が見込めるお得なサブスクタレント」でしたが、「働き方改革」で大きく事情は変わりました。

じゅうぶんな休みを与えなければ問題になりますから、昔のように長時間働かせるのはアウトです。朝や深夜などの帯番組にレギュラー出演させると、どうしても生活リズムが狂い、体調やメンタルを壊してしまうアナウンサーが出てきます。

フツーの女子アナとしてボチボチ働くほうがいい

しかし、そうなれば「ブラック企業だ」と非難を浴びる可能性があります。また、みんなキレイで若いので、恋愛スキャンダルを起こすリスクも考えておかねばなりません。企業コンプライアンス的な観点から考えると、スター女子アナはなかなかリスキーな存在になってきたのです。

他方、新井恵理那さんのような外部タレントの場合はどうでしょうか。出演料は多少高くついたとしても、体調やメンタルの管理は“事務所の責任”です。原則、放送局が気にする必要はありません。そういう意味では、外注したほうがいろいろなリスク管理を外部に任せることができるので、局も助かります。