会議で自分の意見を通すにはどうすればいいのか。教育コンテンツプロデューサーの犬塚壮志さんは「人間は最初に行動した人についていく習性がある。この法則を使えば、鋭い発言をしなくても、会議の主導権を握ることができる」という――。

※本稿は、犬塚壮志『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』(サンクチュアリ出版)の一部を再編集したものです。

会議室のテーブルと椅子
写真=iStock.com/Sophie_James
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明らかに「違うな」と思っても意見できない

会議などで、最初に発言した人の意見が全体に影響を与え、なんとなく受け入れられていく光景を目にしたことはないでしょうか? 本当のところ、自分はその人の意見には反対。ところが、口火を切ったからという理由でその人の意見が会議全体の空気をつくってしまい、そのまま通ってしまいそうに……。

私も会社員時代、目上の人や実力者の人たちが参加している会議で、いつも発言を躊躇していました。そして、自分の考えや経験から明らかに「違うな」と思う提案や、自分にとって不利になるような議論の流れになっても反対意見を言うことができず、結果、会議が終わる度にモヤモヤしていたのです。

“このままでは、職場の人たちや仕事そのものに対してネガティブな感情をいだいてしまう。だから、どうにかこの状況を変えなければならない”と思い、あるとき意を決し、こう発言しました。

驚くほど議論が進んだ「ある一言」

「僭越ながら、経験の浅い私からお話しさせていただいてもよろしいですか?」

司会の担当者から会議の主旨説明が終わり、「誰か、これに関して意見などありませんか?」とあったとき、真っ先に手を挙げてこのように発言したのです。

上司や目上の人たちが大勢いる前でかなり勇気のいることでしたが、続いてこう言いました。

「今回の件に関しては○○の理由から、△△を最優先すべきだと考えています。私の意見を会議のたたき台にしていただければと思います!」

すると驚いたことに、自分が問題提起したことが、その日の会議の議論をリードしていきました。同時に私は、他の人の意見に振り回されることなく、自分の意見を言えた満足感も味わったのです。

その後、私はできるだけ会議の口火を切るよう心がけていきました。もちろん、私の意見が通らないことなどはありましたし、的外れな意見を出したこともありました。

それでも何度か繰り返すうち、話し合いの場で自分の意見を通したいなら先手必勝だということを学びました。最初に出た発言が会議の場の空気をつくり、結果的に議論の主導権を握りやすくするのです。