肺のコンディションを高める「リンゴの抗酸化作用」

肺のコンディションを整える食材として、りんごを推奨すいしょうします。肺がん、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、気管支炎などの病気を予防・改善し、また肺を浄化して呼吸機能も高めます。りんごに豊富に含まれる抗酸化物質、りんごポリフェノールの作用です。

リンゴ
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りんごポリフェノールとは、りんごの皮に多く含まれるポリフェノールの一種で、強い抗酸化力を持ちます。りんごを切ってそのまま置いておくと、切った断面が茶色く変色します。これが酸化です。抗酸化物質は、この酸化を防いだりやわらげたりする作用を持つのです。

りんごポリフェノールが老化を止めたり、各種がん細胞の増殖を抑えたりすることはよく知られています。欧米に「1日に1個のりんごは、医者を遠ざける」という格言があります。北欧では、神々が「青春のりんご」と呼ばれるりんごを食べて永遠の若さを保った、という不老長寿の神話が語り継がれています。私も毎朝、半個のりんごを食べています。

ビタミンの葉酸ようさんが豊富なブロッコリーなどの緑黄色野菜も、肺機能を高めます。葉酸はビタミンB群の一種で、ほうれん草や小松菜、春菊などの葉物野菜に多いことから葉酸の名称がついています。葉酸は嚥下えんげ反射(食べ物を口から胃に送り込むまでの一連の動作)、咳反射(咳を起こす反射運動)を高め、誤嚥ごえん性肺炎予防にも効果的なビタミンなのです。

その他、玉ねぎ、キャベツ、アスパラガス、いちじく、グレープフルーツにも肺を浄化して、呼吸器系の機能を強化する働きがあります。また、肺がんのリスクを低下させる効果もあります。コーヒーも1日3~4杯飲むと、喘息の症状を抑えることに役立ちます。

動脈硬化が進んだ血管も若返ることがわかってきた

新鮮な栄養素と酸素を血流に乗せて、全身の隅々まで送る動脈は、加齢とともに血液の通り道(内腔ないくう)にこぶができてきます。血管の壁は厚く硬くなって、内腔が狭くなります。動脈硬化という血管の老化です。心筋梗塞や脳梗塞などの血管事故の原因となり、突然死につながる怖い血管の老化です。

女性は、女性ホルモンの働きで血管の老化が抑えられるという特権を持っています。ところが、40代後半に入って女性ホルモンの分泌量が低下してくると、動脈硬化のリスクが高くなります。この特権を持たない男性は通常、動脈硬化が20歳前後から始まっていて、不健康な生活習慣が加わっていれば、かなり進行していると考えられます。

かつては、「ひとたび動脈硬化が進んだ血管は、2度と若返ることはない」と信じられていました。近年の研究でその常識が破られ、血管が若返ることがわかってきたのです。よい生活習慣を持てば、血管はしなやかになって肌や筋肉に十分な栄養素と酸素を供給し、うるおいや張りを持たせます。

大動脈から手足へと延びる細い末梢まっしょう血管(細動脈など動脈が毛細血管に分かれる前の細い動脈)は、自律神経の働きでコントロールされています。緊張・興奮すると血管をギュッと収斂しゅうれんさせる交感神経と、リラックスすると血管をしなやかに開く副交感神経のバランスによって、正常なコントロールが保たれているのです。