「第2の心臓」と呼ばれるふくらはぎの重要な役割

自律神経の機能は、食生活をはじめとした健康な生活習慣で維持されます。血管の若返りには手遅れということはありませんが、「血管メンテ」が早ければ早いほど、血管は実に簡単に若返ります。

池谷敏郎『若い体、いつまでも! 心臓セルフメンテ』(工パブリック)
池谷敏郎『若い体、いつまでも! 心臓セルフメンテ』(工パブリック)

若返った血管は、整備が行き届いた高速道路。血流がスムーズに全身をめぐります。ただし、道路が準備万端でも、血液運搬の動力である心臓の送り出す力が正常でなければなりません。スムーズな血流維持には、心臓の送り出す力に加えて、第2の心臓と呼ばれるふくらはぎも重要な役割を担います。

全身の血液のおよそ70%が、心臓よりも下に存在します。この血液は重力に逆らって、心臓まで戻ります。ところが、心臓のポンプ機能は吸い上げる力がごくわずか。その心臓に代わって、ふくらはぎが血液を押し上げるポンプの役目をします。

下半身の血液は、ふくらはぎの筋肉の収縮によって静脈を通り、心臓へと送られます。大股早歩きのウォーキング、これだけで「血管力」がつきます。

血管年齢の若返りが期待できる青魚

加えて、さばやいわしなどの青魚を常食にすれば、血管年齢は間違いなく若返ります。私も40代半ばころに生活習慣を見直したところ、実に13歳も血管年齢が若返っています。青魚には血流を良好にし、動脈硬化を防ぐEPAが豊富です。

調理されたイワシ
写真=iStock.com/zi3000
※写真はイメージです

「大股早歩きウォーキング」と「青魚食い」、この2つの習慣は「体が芯から若返る」ための基本の習慣と、私はきもに銘じています。血管の老化は外からではわかりにくいため、ほとんどの人は気づかずに放置したままです。40代の大半の人の血管が動脈硬化状態にある、といってもいいすぎではありません。

動脈硬化は血管内壁の血液に触れる内皮細胞が障害によって、引き起こされます。そのため、内皮細胞の機能を保つことが、動脈硬化の予防につながります。血管は内膜、中膜、外膜の3層からなっています。動脈を例にとると、内膜は血流にじかに接する最も内側の層。内側の表面は、内皮細胞に覆われています。

内皮細胞は血液が固まるのを防いだり、血管を広げたりするなど動脈硬化を防ぐさまざまな働きを持ち、血管の健康を保っています。血管力とは、おもにこの内皮細胞が本来持つ機能のことなのです。ちなみに、「血管力」は私の造語です。

血管のしなやかさは、中膜を構成する筋肉(平滑筋へいかつきん)によって保たれます。平滑筋は大動脈には少なく、末梢の細動脈にいくほど発達しています。細動脈は動脈から毛細血管に至る直前に存在する細い動脈。交感神経の影響を受けて血圧を調整したり、血流をスムーズに循環させたりします。