【第5位 ウォーレン・バフェット】
ゴルフボールを売って警察沙汰に。両親は野心を認めた
CNBC Make Itのインタビューで、「人生で最高のギフトは、父の息子として生まれたこと」と語ったバフェットの父親もまた、優れた投資家だった。「もし父が靴の営業マンだったら、自分も靴の営業マンになっていただろう」と言わしめるほど、投資家としての父親の教えはバフェットの人生を決定づけた。
本人公認の唯一の伝記『スノーボール』(上・下巻、アリス・シュローダー著、09年、日本経済新聞出版)のダイジェスト版が英フィナンシャル・タイムズのオンラインに掲載されている。
それによると、バフェットは6歳の誕生日に、父親から20ドルをもらい、引き出しに大切にしまっていた。同じ頃、祖父から仕入れたガムやコーラ、新聞、雑誌を近所の家から家に売り歩いたり、家族旅行先の湖畔リゾート地で炭酸飲料を売りさばいたりするなど、小銭を貯める喜びを覚えた。
現代の日本人の感覚からすると驚くようなエピソードばかりだが、売れ残りリスクのあるバラ売りには頑として応じないなど、今も大切にしている投資哲学をこうした体験から学んだのだという。引き出し預金の出納はすべて、あずき色の小さな“通帳”に記録されていたという。
9歳の頃、近くのゴルフ場で中古のロストボールを売って警察沙汰になった時も、両親はバフェットの野心を認めこそすれ、心配はしなかった。事あるごとに父親のオフィスを訪れてそこにあった投資に関する本や投資週刊誌「バロンズ」の株式投資コラムを読みあさったという。
バフェットの投資家マインドは、貪欲に稼ぎ、貯めたお金を増やすことに寛容な父親のもとで育まれていったのだ。
バフェットの父親は、3人の子供たちそれぞれを、10歳の記念にニューヨークに旅させた。バフェットは父親とともに世界恐慌から回復途上にあったウォール街を歩き、さらにはゴールドマン・サックスのトップにいたシドニー・ワインバーグと面会する機会を与えられた。ウォール街の重鎮と30分にわたって真剣に語り合った体験を、バフェットは一生忘れないと述懐している。
その後、11歳で株式投資を始めて本格的に投資の神様への道を歩き始めるのだが、それも父親の英才教育のたまものである。
バフェットは自身の経験から、子供たちが読み書きの能力と同様、早い段階で金融に関する知識や実践能力を身につけるべきだと主張し続けている。このため、自らが司会、講師役として登場して、子供たちに正しい投資や起業家精神を教えるためのアニメ「Secret Millionaires Club(秘密の富豪クラブ)」の制作を発案、11年から17年までに全26話が放映された。対象は5歳以上で、YouTubeの「Kartoon Channel!」で視聴可能。投資の先生として、バフェット以上の適任者はいないはず。英語とマネーを同時に学べる良質なアニメ教材、親子で活用してもらいたい。