「政治の宗教への介入」は再び暗い時代の第一歩か
一方で、歴史的な視座に立てば「政治の宗教への介入」は、あまりよい結果を生んでこなかったのも事実だ。先の日本における戦争も、宗教が根っこにある。
折しも日本政府は防衛費の増額や、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を決めた。日本は安全保障上も大きな岐路に立っている。国家は宗教を精神的な支柱として戦争に利用し、同時に宗教も政治情勢(有事)を利用しながら教線拡大を目論んできた。その構造は今も変わっていない。
わが国における国家と宗教が、今すぐに暴走を始めることはないだろう。しかし、ひとたび有事の局面になれば「信教の自由」が奪われ、殺伐の社会が訪れることは歴史が証明している。政治と宗教の接近は、日本が再び暗い時代への一歩を踏み出したことの暗示だと、考えるべきである。