それでもネットでバイアグラを買う理由

では身の安全のために、個人輸入はやめて、ちゃんと医師の処方を受けるべきでしょうか?

優等生ならそう答えるでしょう。しかし、そうできない事情がある人も多いのです。

ネットで検索すると、バイアグラを飲んでいることがバレて浮気を疑われた、といった体験談がいくつもヒットします。医師の処方を受けず、個人輸入で買わざるを得ないから、そうしているのです。

人は本当に深刻なことはネットに書きません。ですから、検索で見つかる体験談は氷山の一角かもしれません。「バイアグラをもらいに病院に行くのは恥ずかしい」という動機だけでは説明できないケースが多いはずです。死亡例が出ているやせ薬にしても同じで、医師に頼んでも処方してもらえないからこそ、個人輸入に頼るのです。

この記事を読んでいるあなたも、いつか魔が差して個人輸入に手を出し、健康被害に遭う可能性があるのです。

「個人輸入のリスクを知り、医師の処方を受けよう」と言うだけでは解決になりません。もっと根本的なところを変える必要があります。

そもそもEDで困っているならまずパートナーと相談するべきでしょうし、「やせなければ嫌われてしまう」と不安にかられている人には安心させてくれる人が必要でしょう。

しかし、そうした本来の解決はたいていとても難しいことです。そんなとき、「クスリでなんとかしよう」という考えは魅力的に見えます。だからこそ、相次ぐ健康被害にもかかわらず、個人輸入には根強い人気があります。

「クスリでなんとかしよう」という考えは魅力的(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/sanjagrujic
「クスリでなんとかしよう」という考えは魅力的(※写真はイメージです)

だとすれば、クスリのことを考えてしまったらもう負けなのです。もっと手前の段階で食い止めなければなりません。すなわち、困ったときに相談できる人がいることこそが大切です。

そして、いざというときにクスリのことなど思い出しもしないように、ほかのことで頭をいっぱいにして、クスリのことは忘れることです。かわりに家族の好きなものと嫌いなものを詳しく調べて記憶しておいたほうが役に立ちます。クリスマスプレゼントは何を買いましたか? 新年のあいさつは誰と誰に言いますか?

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