体を温めるには、どうすればいいのか。医師の南雲吉則さんは「トウガラシやショウガを食べても、体は温まらない。体を温めたいのであれば、水シャワーを浴びるといい」という――。

※本稿は、南雲吉則『体を冷やせば健康になる』(光文社)の一部を再編集したものです。

モダンなバスルームでシャワーヘッドと蛇口から流れる水
写真=iStock.com/ben-bryant
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外から体を温めても健康にはならない

病気を治したいならば、体を冷やしなさい。
免疫力を上げたいならば、体を冷やしなさい。
そして、若返りたいならば、体を冷やしなさい。

なぜ、こんなに当たり前のことを、今さら強調する必要があるのでしょう。最近、病気を治したいなら、免疫力を上げたいなら、若返りたいなら、「体を温めなさい」という健康情報が広がっています。それを信じきっている人も非常に多くなりました。今や、「体を温める」ことがごくごく当たり前の健康常識になっています。

しかし、体は外から温めれば温めるほど、体温を一定に保つために深部体温を下げようとするのです。深部体温が上がらなければ、免疫力を下げ、細胞の老化を招くことになります。

細胞が老化すれば、外見も老けて見えます。厚着をしている人ほど、寒がりで、老けて見えるのはそのためです。深部体温が上がるのは、寒冷刺激を与えられたときです。

ですから、私は毎晩、風呂上がりに「水シャワー」をします。これこそが、細胞から健康になり、若返るための一丁目一番地です。では、なぜ、体を冷やすと健康になり、細胞レベルから若返っていくのでしょうか。

寒冷刺激を与えられると、細胞内の「ミトコンドリア」が酸素とともに脂肪を燃焼します。これによって深部体温が上昇します。寒冷刺激が繰り返されるとミトコンドリアはどんどん細胞分裂して、その数を増やします。

ミトコンドリアは、エネルギーを産生する小器官です。そのミトコンドリアの活性化こそが、免疫力の良好化と健康増進、若返りを叶える鍵かぎになるのです。

人間の活動のすべてを支えるミトコンドリア

ミトコンドリアについては、『体を冷やせば健康になる』第2章でも詳しくお話ししますが、酸素と一緒に脂肪を燃焼させることで、たくさんのエネルギーを産生する働きがあります。

その働きが活性化すれば、脂肪の燃料量が増えます。そのため、太っている人は自然と痩せていきます。エネルギーの産生力が上がれば、免疫細胞の働きがよくなって感染症やがんなどを防ぐ力が高まります。細胞の生まれ変わりもスムーズになるため、若々しい細胞が次から次へとつくられていきます。

大事なのは、ミトコンドリアは、1つの細胞に1つだけあるのではなく、数百から数千個もある、ということです。その数は、どの組織をつくる細胞かでも違うのですが、個人差も大きいのです。