バイアグラで心筋梗塞の可能性も

医薬品副作用被害救済制度については少し説明が要るでしょう。

ひとことで言うと、クスリの副作用で入院するほどの被害があった場合、医療費を出してもらえる制度です。

どんなクスリにも副作用のリスクはあります。「クスリはリスク」という言葉があるほどです。

本物のクスリも、漢方薬やハーブ、サプリメントなども、作用があるものには必ず副作用があり、それによる健康被害もあり得ます。

バイアグラも例外ではありません。クスリの説明書にあたる添付文書には、さまざまな副作用が記されています。出現頻度が高いほてりや頭痛のほか、まれではありますが深刻な副作用として心筋梗塞もあります。

深刻な副作用として心筋梗塞も(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/PeopleImages
深刻な副作用として心筋梗塞も(※写真はイメージです)

そのため、ある種の心臓の病気で治療中の人などは「禁忌」に指定され、バイアグラを飲まないよう注意されています。

中には「低血圧の患者(血圧<90/50mmHg)」という禁忌も書かれています。

ほかにも注意するべき条件がいくつも書かれていて、処方する医師はそれらをいちいちチェックしているわけです。

副作用のリスクはゼロにならない

あらゆる条件をクリアして、適切な用法・用量を守ったとしても、やはり副作用はあります。

注意事項はあくまで、「これを守らないとさらにリスクが高まる」という意味あいであって、すべてを守っていてもリスクはゼロにならないのです。

だからこそ、深刻な副作用が出ることもたまにある、という認識を前提としたセーフティネット、すなわち医薬品副作用被害救済制度があるのです。

しかし個人輸入したクスリには、医薬品副作用被害救済制度が適用されないと、厚生労働省が明言しています。入院するほどの副作用被害があっても、個人輸入したクスリの場合、助けてもらえないのです。