1on1ミーティングは、上司だけでなく、部下の側にも準備が必要です。
「手ぶらで行って何も生み出されないのは時間がもったいない」とインフラ企業の5%社員が言っていました。
「20代は上司と関係構築するチャンス」「別に上司と“仲良し”にはなりたいわけじゃないけれど、“協力者”になってもらわないと30代でキツい」と、商社と流通業の5%社員が話してくれました。
5%社員は「情報」を共有する前に「感情」を共有する
そもそも5%社員は、1on1ミーティングを会議とは捉えていません。情報を共有して上司にアクションを決めてもらう場ではなく、「共感・共創の場」だと捉えていました。
テレワークでも出社時でも細かいチェックをされること(マイクロマネジメント)を避けて、自分の考えで自由に成果を出し続ける方法を模索していました。
そのためには、上司と腹を割って話せる関係性(心理的安全性)を築き、上司を巻き込んで一緒に成果を出して一緒に認められる体制を組もうとしていたのです。この体制構築に必要なのが、「共感と共創」だというのです。
5%社員は20代の頃に「自分の弱みをさらけ出す」と第1回(「20代のころは人事評価トップ5%だった一流大卒が、40代で急失速…年齢とともに行き詰まる人の特徴」)で説明しました。これが「共感」を生み出します。
自分が腹を割って話せば相手も腹を割ります。だからこそ、5%社員は上司との1on1ミーティングで情報を共有する前に、感情を共有していたそうです。
「隣の部署の課長に褒められて意外とうれしかった」「頑張って資料を作ったが却下されて残念だった」最近うれしかったこと、残念だったことなどを自分から上司に話すようにしていた、と物流業の5%社員が話してくれました。
「感情共有」は順番が大切
さらにクロスリバーがヒアリング調査を続けたところ、「感情共有」には順番が大切であることが分かりました。
最初に「残念だったこと」を話すと、上司からダメ出しされたり、愚痴を言う若手社員といったレッテルが貼られたりしてしまいます。
そうではなく、部下が上司に対して先に「うれしかったこと」を伝えることで、ポジティブな側面の相互理解が進みます。その後に「残念だったこと」を伝えることで、上司からもそのネガティブな内容を受け止めてもらいやすくなることがわかりました。
5%社員はこのような「ポジティブ・ファースト」を実施し、上司と感情共有することで、前向きな対話の下地を作っていたのです。