ランチタイムの取材だったので11時半のオープンと同時に満席、注文はイタリアンカツレツと神戸牛コロッケのランチセットのみと言っていいくらい偏った注文です。そんなフィーバータイムが1カ月ほど続き、ようやくお店は通常運転に戻っていきます。

テレビを見て来店してくれるご新規のお客様の反応は上々ではあったんですが、テレビ出演をきっかけに一気に超繁盛店になるなんてことはなく、一度限りの来店のお客様も多かったと思います。

一度は行ってみたい店=一度しか来ない店

ではなぜこういう状態になってしまったかというと、テレビ出演の影響で一度行ってみたい、一度食べてみたいお店になってしまったからですね。つまり一度経験することで満足してしまい、次に繋がらない状態に陥ってしまったといえます。

当然イタリアンなのでパスタもありますし、他のランチセットも用意してたりするんですが、興味は神戸牛コロッケとイタリアンカツレツに集中してしまい、また次も行こうとはならなかったんですね。

もちろんテレビ出演がきっかけでお店の存在を知ってくれて、その後何度も通ってくれるお客様はいるんですが、それはごくごく一部の話になります。

このように“一度行ってみたいお店”止まりになると、その需要がなくなってしまえば元通りのような状態に戻ってしまいます。

何度も通いたくなる店を目指す

ちなみにテレビ出演で気をつけなければいけないのは、常連さんの来店離れです。

一気に新規客が来店することでいつものように常連さんが来店できなくなってしまうと、その期間が長くなればなるほど、違うお店を見つけて常連さんがいなくなってしまうケースもあります。

テレビ出演がきっかけで半年間ご新規さんの予約で席が埋まってしまい、常連さんが来店できなくなったために常連さんがどんどんと減っていき、半年後にはテレビ出演前の売り上げより下がったという話も聞いたことがあります。

この時、半分は常連さんのために席を用意しておくなどの対策をしていればこのような結果にはならなかったと思いますが、一度行ってみたい需要で流行るお店は危険なんです。

お客様の興味を引くために独創的な商品を作ることはいいと思いますが、それよりもっと大事なのは何度も通いたくなるお店を作ることです。