一度限りで終わる店と二度目がある店の違い

どのジャンルで開業するか? 飲食店を開業する時に頭を悩ませるこの問題。

結論からお伝えすると王道を攻めるのが一番です。

これはなぜなのか? それは先ほどお伝えしたような答えになってしまいますが、一度限りのお店と二度目のあるお店の違いは、お客様にとっての日常の延長であるかどうかの違いだからです。

多くのお客様にとっての馴染みがあるお店ほど来店頻度が高くなります。提供する料理も馴染みがない料理より、馴染みがある料理や馴染みがあるジャンルのほうが潜在需要は多いです。

お店の数を調べてみたらわかるんですが、ラーメン屋さん、うどん屋さん、カレー屋さん、焼肉屋さん、焼き鳥屋さん、イタリアン、中華料理屋さん、和食屋さん、居酒屋さん、カフェ、定食屋さん、洋食屋さんなどこういったお店は、どの街に行ってもたくさん見かけると思います。

一方、フレンチ、高級寿司、鰻屋さん、割烹、料亭、スペイン料理、台湾料理などは場所にもよりますが、店舗数が少ないです。前者は市場のニーズが多く、後者は市場のニーズが少ないジャンルだからですね。

レストラン
写真=iStock.com/urbancow
※写真はイメージです

これは価格帯の問題もありますが、基本的に日本の文化やその土地の潜在需要が多いジャンルは店舗数が多くなります。

逆にニッチなジャンルは店舗数が少ないのでライバルは減りますが、市場のニーズが少ないので顧客に飽きられてしまうとなかなか立て直すのが難しいジャンルになります。

また価格帯が高いジャンルはライバルが強敵であり、顧客の舌も肥えている場合が多いので料理人の腕が非常に重要になってきます。

王道の中に個性を生み出す店が強い

では王道を攻めてどこにでもあるような似たようなお店を作ればうまくいくでしょうか? その答えはNOです。

王道の中に個性を生み出すお店がうまくいくお店です。つまり市場のニーズがある程度予想できて、その中でも違いを生み出せるお店がうまくいくお店です。

料理の美味しさで一歩抜きん出ているだけでも、個性がある飲食店として成功率は上がりますよね。

経営を学んでいくとどうしても、新しいコンセプトや革新的なお店を作れば注目されて繁盛すると考えてしまいますが、それはメッキ加工された中身がない装飾品のようなもの。メッキが剝がれると価値が一気に急落してしまいます。

たとえば、「ペヤングやきそば」「UFO」「一平ちゃん」のように、同じカップ焼きそばでもそれぞれの良さがあるように、一定数のファンを獲得するようなお店を作ることが飽きられないお店を作る秘訣ひけつです。

「一平ちゃんショートケーキ味」のような革新的すぎるメニューはネタとしては面白いですが、長年経営していく柱としては難しいですよね。