師匠になっても金に困ることに違いはない

組織関係者は「一般的な小売店であれば、一度にたくさん仕入れれば卸値は下がり、割安で仕入れられる。つまり、「取引量」に応じて卸値が下がるのが普通だが、組織では、自分の下に9系列50人以上のストアオーナーが何系列いるか、に応じて卸値が決まる。つまり、明らかに普通の指標ではなく、「何人勧誘できたか」という勧誘の実績が、卸値に反映する仕組みだった。

自分が勧誘した友達が師匠になると、卸値が下がって利益が出やすくなる。「自分の下に師匠一人で月収50万円くらい、3人なら月収150万円」と口頭で伝えられたという。ただ、契約書などはなく、「なかなか黒字にならなかった。友達作りで苦しんだ地獄から、経営に苦しむ地獄に移っただけ。金に困ることに違いはなかった」と吐露した。

組織関係者は「構成員は数千人。中核2社からの収益だけで、毎月2億円はくだらないのではないか」と分析する。Yは財閥総帥として、構成員を焚きつけるメールを頻繁に送っていることが確認できた。

2018年7月に組織の一部メンバーで共有されたメール。「トレーナー」「カリスマ」と呼ばれているYからのもので、活動を焚きつける内容になっている。

先月より収入がアップした方は、allメーリングでそのことを流してください♪ ※%アップ! でも良いし、※万円アップ! でも良いし、絶対数で効果がある方は月収が※万円! でも良いです!(^^)! 良い噂はジャンジャン流しましょう♪♪♪ そして、誰かにとって良いことを全力で承認する文化をさらに育てましょう(≧∀≦)/※ここで言う収入とは、実店舗からの収入・サラリー・自分が主催する呑み会からの収入など、全ての合計です☆

活動を焚きつける幹部からのメール

以下は、2019年8月に組織全体のメーリングリストに送られたYからの「格言」。構成員の「勧誘」のやる気を上げるためのものとみられる。

「命がけで!!!」と言うのなら、プランに保険をかけましょう♪ 「人生をかけて!!!」と言うのなら、系列数にも保険をかけましょう♪ 仕事の送信期限が9時のとき、8時59分に送信しようとしてミスをする人。「ネット環境が悪くて」などと言い訳をするのは見苦しいし、みっともないので止めたほうが良いですね。ボクはそういう言い訳を無視します。

待ち合わせが9時のとき、8時59分に到着しようとして、遅刻をする人。「電車が止まって」などと言い訳をするのは見苦しいし、みっともないので止めたほうが良いですね。ボクはそういう言い訳を無視します。何かの要件を満たす条件が9系列のとき、9系ギリギリで勝負をしようとして、落とす人。「※が悪くて」などと言い訳をするのは見苦しいし、みっともないので止めたほうが良いですね。ボクはそういう言い訳を無視します。

言い訳は嘘よりももっと悪く恐ろしい。けだし、言い訳は防御された嘘だから。

最盛期には、6000人以上いたとされる構成員は2000~3000人規模まで縮小したとみられる。また、師匠の離脱も相次ぎ、組織としては縮小の一途をたどっている。一方で、いまだに組織や師匠に心酔し、事業家集団の活動に邁進している若者が多数いる。なぜだろうか。