担任のせいで保健室登校になる児童

6年時の担任Yについては、ほかにも驚くべき悪質な言動が多々明らかにされている。

たとえば、Yは子どもの声が小さいとき、何度も大きな声を出す練習をさせていた。卒業式などの練習の際は、Yの指導に耐えかね、練習後まで大声で泣いていた児童もいる。場面緘黙症の子どもに対し、自己判断で発声指導を行ったこともある。

Yから「お前の顔を見るとイライラする」と言われた、授業中にモノを落として首を絞めつけられた、と話す子どももいた。「(Yは)感情が表面に出やすく、怒ると怖いので、Yの考えに沿うように発言していた」「AさんはYの顔色をうかがいながら、怒らせないように立ち回っていた」などの声も複数ある。

YがAさんの姉を担任したときにも被害は出ていた。ある児童は「運動会の練習や教室で、Yから強い口調で指導されたため、強い不安や恐怖を感じるようになり、担任が傍にいるだけで泣き出したり、過呼吸になったりするため、保健室登校をすることが多くなった」という。

横断歩道で手を上げる小学生
写真=iStock.com/kazuma seki
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体罰も繰り返していた。前任校では「子どものみぞおちを3本の指先で突いた」「首をつかむ」「腕を握る」などの体罰を行い、管理職の指導を受けている。「腹部を2回蹴られた」と証言する子どももいる。

児童の胸ぐらをつかむ行為は繰り返し見られ、「壁に頭を打ち付けられた」と訴える子どもも複数いた。2018年には児童への暴行の疑いで書類送検されていたことも、その後の報道で明らかになっている。被害を受けたのはAさんの友人だった先述の同級生だ。この児童は、年度途中に他校への転校を余儀なくされた。

保護者から教育委員会への嘆願書

保護者と管理職などによる話し合いの場ももたれているので、Yの言動に問題を感じる保護者は少なからずいたはずだ。Aさんの親も、Aさんが亡くなる1カ月ほど前に、他の保護者らとともに市の教育委員会に対し、体罰等の再発防止を求める嘆願書を提出している。

Yを問題視していたのは、子どもや保護者だけではない。同僚たちの間でも、Yの言動は危惧されていた。「多くの女性教員は、Yと顔を合わせないため職員室に寄り付かず、別の部屋に集まっていた」という話もある。クラス編成や修学旅行の工程をYが勝手に決めたと訴える声もあった。

熊本日日新聞の報道では、同じ部活の顧問をしていた女性教諭がストレス性の十二指腸潰瘍で休職していたこともわかっている。Yは子どもたちの前で、この女性教諭への叱責しっせきを繰り返していた。同教諭はYの言動について管理職や教育委員会に相談していたが、「誰も動いてくれなかった」と話しているという。