教員は守られ過ぎている

このように、YはAさんが亡くなる何年も前から多数の児童や保護者、同僚たちから問題視され、管理職や教育委員会にも報告があがっていた。本当はもっとずっと昔に、Yは免職等の処分を受けて然るべきだったのではないだろうか。

Aさんが亡くなるまではおろか、亡くなってからも、つい最近までYが教壇に立ち続けていたことが何より信じがたい。Yは部活動の指導等で実績を上げ、高い評価を得ていたという。もしAさんが亡くなっていなければ、Yは今もこれからも被害児童を出していた可能性が高い。

誰もいない学校の教室
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本事案をはじめ、これまで指導死の調査委員会に多数かかわってきた大貫隆志さん(「『指導死』親の会」共同代表・一般社団法人「ここから未来」代表)は、「あくまで一般論だが」と前置きした上でこう話す。

「やはり教員は守られ過ぎだとは感じます。誰でもミスはしますから、一般の仕事であればすぐ処分するのは行き過ぎかもしれない。でも教員の場合は子どもに影響が及ぶので、現状のように処分規定がないのは問題では。少なくとも、子どもとかかわらせないよう、現場から離す仕組みは必要でしょう」

学校外に通報窓口の必要性

そもそも、どうすればこういった教員を止められるのか。大貫さんは、学校以外の場所に通報窓口を設ける必要があると指摘する。

「学校内の窓口だと、こういった通報はどうしてももみ消されたり、情報が漏れたりしやすい。それに今は、学校は忙しく疲労困憊こんぱいしており、さらなる役割を押し付けても担えるリソースがありません。ですから学校の外にダイレクトに通報できる窓口を設ける必要があります。たとえば熊本市では、男子生徒が亡くなった翌年から教育委員会に『体罰等審議会』を設置している。ここで審議された体罰事例は複数あります」

なお、熊本市教育委員会はこの体罰等審議会で、Yの不適切な行為についてのさらなる情報提供を呼び掛けている。11月30日までに、77件の情報が寄せられたということだ(テレビ熊本 FNNオンライン)。